(24日、第106回全国高校野球選手権長崎大会準々決勝 長崎総大付1―0長崎日大) 「母を甲子園へ」。長崎日大の加藤太陽主将(3年)の帽子には、昨年4月に病気で他界した母・真紀さん(享年45)への思いが、油性ペンで記されている。 幼い頃に…

 (24日、第106回全国高校野球選手権長崎大会準々決勝 長崎総大付1―0長崎日大)

 「母を甲子園へ」。長崎日大の加藤太陽主将(3年)の帽子には、昨年4月に病気で他界した母・真紀さん(享年45)への思いが、油性ペンで記されている。

 幼い頃に両親が離婚。真紀さんは介護職員として働きながら、太陽さんと妹を育てた。一昨年4月に乳がんなどが見つかり、手術をして一度は回復した。昨春の選抜大会では甲子園に車いすで観戦に訪れ、その約2週間後に息を引き取った。「もっと活躍した姿を見て欲しかった」。悲しみをこらえて気丈に振る舞ってきた。

 昨年の秋季大会、春季大会、NHK杯の3冠を果たし、挑んだ夏。主将で4番を任された。この日の試合では四回に四球で出塁後、二盗を決めたものの、そのほかの打席は内野ゴロや外野フライに終わった。「最後の夏を甲子園に連れていくことはできなかったが、大学でも野球を続けて試合に出たい」と成長を誓った。

 スタンドには祖母の松添洋美さん(69)が母の遺影を手にして応援に駆けつけた。母が入院して以降、朝はお米を7合炊いて、弁当を作って支えた。試合後、「もう少し夏の活躍を見たかった。今後も元気に野球を続けてもらえれば」と目を細めた。平山清一郎監督は「キャプテンとしてチームを引っ張ってくれた」とたたえた。(榧場勇太)