(24日、第106回全国高校野球選手権愛知大会準々決勝 中京大中京6―5名古屋たちばな) 名古屋たちばなの3点リードで迎えた七回、試合の風向きが変わった。 マウンドには3人目の投手、中島稜太選手(2年)。2番打者から始まる中京大中京の攻撃…

 (24日、第106回全国高校野球選手権愛知大会準々決勝 中京大中京6―5名古屋たちばな)

 名古屋たちばなの3点リードで迎えた七回、試合の風向きが変わった。

 マウンドには3人目の投手、中島稜太選手(2年)。2番打者から始まる中京大中京の攻撃で、スタンドの応援が一段と大きくなっていた。

 捕手の吉川拓杜選手(3年)が構えた内角に球が来ない。「調子は悪くない。雰囲気にやられているように見えた」

 地に足をつけて投げよう。そう念じた中島選手の球はことごとく甘いコースに入り、たたかれた。3連打の後、右中間越え三塁打で逆転された。

 「構えたところに投げられなくて、それが一番……」。試合後、中島選手は次の言葉を紡げなかった。

 チームの強みは多彩な投手陣だ。支えてきたのが、捕手の吉川選手だった。

 「強気に、だけど冷静に」。常にそんな心がけで、登板した6人の投手をもり立てた。この日も七回には、三塁走者の本盗を阻止するなど、中島選手をプレーで引っ張った。

 今春に愛産大工から改称し、この大会では「私学4強」の享栄、愛工大名電、県立の強豪・大府を次々退けた。勝つたびに新校名をとどろかせた「名古屋たちばな旋風」は準々決勝で幕切れに。

 吉川選手は「(中島選手は)もう1年あるから、反省をいかして甲子園に行ってほしい」。(渡辺杏果)