(24日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会決勝 横浜4―6東海大相模) 初回に先取点を許し、追いついては離される試合展開で、終盤一気に4点を加える逆転劇。決勝打を放ったのは、2年生の3番打者、中村龍之介だった。 2点を追う八回裏、同点…

(24日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会決勝 横浜4―6東海大相模)

 初回に先取点を許し、追いついては離される試合展開で、終盤一気に4点を加える逆転劇。決勝打を放ったのは、2年生の3番打者、中村龍之介だった。

 2点を追う八回裏、同点に追いつき、なおも1死満塁の好機に打席が回ってきた。「横浜に厳しい場面。1番ストライクが入りやすい球が来る」と読んだ。3球目、インコースに来た直球を振り抜いた。左中間を破る2点適時打で勝ち越し、試合開始から初めて横浜をリード。スタジアムの大観衆が沸いた。

 「みんなが出塁してくれて、たまたま自分に回ってきただけ。仕事ができてよかった」

 塁上では喜びを表現せず、「切り替えよう」とあえて冷静に振る舞っていた。試合後にマイクを向けられると、「大好きな3年生と1日でも長く野球ができる」と涙があふれた。

 原俊介監督が「打撃が天才的」と評する好打者。1年夏からスタメンで、「先輩のポジションをひとつ自分がとっている」という思いが心の隅にあった。その分、「自分の結果がでなくて負けても『あいつで負けたら仕方ない』と思ってもらえるように」練習を重ねてきた。

 「目標は日本一で、甲子園に行くには神奈川大会は通過点。甲子園で勝ってから喜びたいです」。はじける笑顔とガッツポーズは、聖地で頂点に立つ時まで、とっておくつもりだ。(手代木慶)