(24日、全国高校野球選手権京都大会準々決勝 西城陽3―11京都国際) 1点リードの五回裏、1死二、三塁の場面。スリーボール、ノーストライクとなり、西城陽のエース・辰巳涼太さん(3年)は、マウンドを降りた。後を託す改田来羽(くう)さん(2…

 (24日、全国高校野球選手権京都大会準々決勝 西城陽3―11京都国際)

 1点リードの五回裏、1死二、三塁の場面。スリーボール、ノーストライクとなり、西城陽のエース・辰巳涼太さん(3年)は、マウンドを降りた。後を託す改田来羽(くう)さん(2年)は、とても緊張しているようだった。

 とっさに笑顔が出た。ピンチを招いた申し訳なさ、激励。そして、緊張せずに普段通りの力を出してほしい……。「ごめんな」「任せたぞ」。辰巳さんは、そんな思いを込めた。

 エースとして、「人一倍、プレーでみせなければ」と、野球に向き合ってきた。4強入りをかけたこの日の京都国際との一戦では、変化球で的を絞らせない投球を心がけた。

 味方の打線は、強豪に食らいついた。二回に古谷悠人さん(3年)がスクイズを決めて先制。三回に逆転されたが、五回に犠飛で追いつき、斉藤七星さん(同)の右前打で勝ち越した。

 だが、「慎重になりすぎた」と悔やんだ通り、ボールが先行し、苦しくなって投げ込んだ球を相手打線に痛打された。代わった投手陣も勢いを止められなかった。

 最後の夏、学んだことがある。「チームでカバーし、支え合う。協力することの大切さ。仲間には感謝しかありません」。エースはそう言って、汗をぬぐった。(八百板一平)