(24日、第106回全国高校野球選手権栃木大会準々決勝 作新学院1―0文星芸大付) 文星芸大付のエース堀江正太郎(3年)は試合後、涙が止まらなかった。「自分が気負ってしまったせいです」 初回、作新学院の1番打者小森一誠(3年)へ与えた四球。…

(24日、第106回全国高校野球選手権栃木大会準々決勝 作新学院1―0文星芸大付)

 文星芸大付のエース堀江正太郎(3年)は試合後、涙が止まらなかった。「自分が気負ってしまったせいです」

 初回、作新学院の1番打者小森一誠(3年)へ与えた四球。それが試合のすべてだった。2死で迎えた小川亜怜(2年)の適時打で小森が生還。最も警戒していた初回の失点だった。

 堀江は、作新学院エースの小川哲平(3年)らと並ぶ大会屈指の注目投手だ。この日も9回を投げ、被安打6。巧打の作新から12三振を奪った。作新学院の小針崇宏監督も「予想以上に切れも良く、あれだけ制球力よく投げられたらちょっと打ち切れない」と評価した。

 小川も完投し、許した安打はわずか6。球速も148キロを記録した。

 息が詰まるような投手戦で、3打数3安打と気を吐いたのが文星芸大付の6番打者谷本陽杜(3年)。中学時代、小川と軟式野球オール栃木選抜のチームメートだった。「小川哲平がくると予想していたので、しっかりイメージしてきた。やってやろうという気持ちで打席に入った」

 春季大会はけがで出場できず、悔しい思いをした。自身のバットでその借りは返せたが、小川の気迫に打線が続かなかった。

 「堀江に頼り切りだった。打てなくて申し訳なかった」。試合後、そううつむく主将の木伏遥斗(3年)の肩に高根沢力監督がそっと手を置いていた。

 「作新を倒して甲子園に行くのが入学当初からのチームの総意だった」と木伏。抽選会で互いに勝ち進めば準々決勝で対戦すると分かり、作新主将の小森と「戦わずに終わるより、戦ってどちらかが甲子園に行くのがベスト」と話していた。「ずっと作新を意識してきた。作新が甲子園で暴れまわる姿を見たい」(高橋淳)