(24日、第106回全国高校野球選手権福岡大会決勝 福岡大大濠2―5西日本短大付) 背番号1の柴田獅子(れお)投手(3年)と10の平川絢翔(あやと)投手(3年)。福岡大大濠の2人はマウンドを争うライバルで、「仲良し」ではない。だが互いの良…

 (24日、第106回全国高校野球選手権福岡大会決勝 福岡大大濠2―5西日本短大付)

 背番号1の柴田獅子(れお)投手(3年)と10の平川絢翔(あやと)投手(3年)。福岡大大濠の2人はマウンドを争うライバルで、「仲良し」ではない。だが互いの良さを盗みあい、成長につなげた。

 安定感があるのは平川投手。「体の使い方に無駄がなく、投球動作が滑らか」とその理由を感じた柴田投手は昨冬、自分の動作を見つめ直した。どこの筋肉をどう使えばいいのか。投球の安定感を高めようと、下半身も鍛え抜いた。

 一方、平川投手もライバルを分析した。「体重移動がうまい。体も大きく、質の良い球を投げる」。自分は上半身の力に頼って投げてしまいがちだった。下半身をうまく使うため、投球時の重心移動をスムーズにするトレーニングを重ねた。

 一冬を越え、2人の最高球速は140キロ台後半まで上がった。安定感もぐっと上がり、ともに県内屈指の好投手、と呼ばれるまでに成長した。

 競い合う2人は今大会、支え合った。

 5回戦、先発した柴田投手が五回途中までに3点を失うと、後を継いだ平川投手が流れを変える好投で逆転勝利につなげた。準々決勝は平川投手が一回に相手打線につかまり、2失点。今度は、継投した柴田投手が二塁を踏ませぬ投球で打線の奮起を促し、コールド勝ちした。

 決勝も、調子が上がらない先発の柴田投手に代わり、平川投手がマウンドへ。走者を背負いながら粘りの投球を続けたが、八回裏、相手に勝ち越しの3点本塁打を浴び、勝敗が決した。

 「練習中はライバルだが、試合では仲間として助け合えた」と平川投手。柴田投手も感謝した。「平川が人一倍の努力をするなら、自分は人二倍と思ってやった。成長できたのは、彼のおかげ」。柴田投手は高校卒業後に、平川投手は大学を経て、それぞれプロ入りを目指す。(石垣明真)