(24日、第106回全国高校野球選手権京都大会準々決勝 龍谷大平安5―0乙訓) 5点をリードされた九回裏2死。次打者席には、乙訓の副主将、岡田一徹さん(3年)がいた。前を打つ永井晶さん(3年)が内野安打でつないだ。岡田さんは右手で胸を3回…

 (24日、第106回全国高校野球選手権京都大会準々決勝 龍谷大平安5―0乙訓)

 5点をリードされた九回裏2死。次打者席には、乙訓の副主将、岡田一徹さん(3年)がいた。前を打つ永井晶さん(3年)が内野安打でつないだ。岡田さんは右手で胸を3回たたき、打席へ。「回ってくると信じていました」。

 岡田さんは主将の浜野太一さん(3年)とともに1年生の夏からベンチ入りし、昨夏は先発メンバーとして出場した。だが、秋以降に調子を落とし、今年の春季大会では控えメンバーとなった。

 苦しい立場の岡田さんに、浜野さんは声をかけ続けた。「一徹は絶対にレギュラーに戻れるから」。岡田さんは下を向かず練習に励んだ。

 背番号14番で迎えた今大会。4回戦ではじめて先発出場した。「うれしかった」。3安打を放ってみせた。

 活躍が認められ、今日の試合も先発出場。気合が入った。七回には安打を放ち、守備ではアウトをとるたびガッツポーズ。感情を爆発させた。雨による3時間近くにわたる中断中も「暗くなるな」「集中力を切らすな」。副主将としてチームを鼓舞した。

 仲間がつないでくれた九回裏の最終打席。岡田さんの放った打球は高々と上がり、センターのグラブへ。乙訓の夏が終わった。同時に涙がこみ上げた。「つらいことの方が多かった。でも、最後にこの舞台で試合ができて後悔はないです」(木子慎太郎)