(23日、第106回全国高校野球選手権千葉大会準々決勝、市船橋10―2拓大紅陵=8回コールド) いつもの拓大紅陵ではなかった。5回戦までは4試合を戦い、5失点5失策。しかし、この日は初回からエラーが絡み、2点を失った。 一昨年夏の準決勝で…

 (23日、第106回全国高校野球選手権千葉大会準々決勝、市船橋10―2拓大紅陵=8回コールド)

 いつもの拓大紅陵ではなかった。5回戦までは4試合を戦い、5失点5失策。しかし、この日は初回からエラーが絡み、2点を失った。

 一昨年夏の準決勝で敗れた市船橋を相手にしてのリベンジマッチだったが、確実に守り、打線をつないでいく拓大紅陵らしさを見失っていた。

 7点を追う七回裏。先頭打者として代打・尾藤明史(3年)が打席に立った。尾藤は春の県大会では2番打者を任されていた。しかし、練習試合では打てるのに、大会になると硬くなってしまい、一打が出ない。今大会は8番を打つ機会が多く、途中出場もあった。

 この日、コールド負けのかかった場面での起用に、監督は見てくれていると思った。21日の昭和学院戦で五回裏に内野安打を放つなど、調子が上向いていた。

 代打の場面。「胸張って自分のスイングをしてこい」と監督に言われ、初球から振ろうと決めた。「絶対チャンスをつくってやる」

 決意通り初球の直球を右中間に飛ばし、三塁打。次打者の今奏都(3年)の適時打で生還した。「よっしゃー! やってやったぞ!」

 この夏、一番の打撃だった。=ZOZO(田辺詩織)