日本にパリ五輪の出場権、アジア王者の称号をもたらした、U-23日本代表。その栄光のメンバーの中でも、全試合を通じての数々のビッグセーブ、そして決勝戦での劇的PKストップで一躍、国民的ヒーローになった小久保玲央ブライアン。最後の強化試合とな…

 日本にパリ五輪の出場権、アジア王者の称号をもたらした、U-23日本代表。その栄光のメンバーの中でも、全試合を通じての数々のビッグセーブ、そして決勝戦での劇的PKストップで一躍、国民的ヒーローになった小久保玲央ブライアン。最後の強化試合となった開催国フランスとの一戦でも、好セーブを連発し、その好調ぶりを見せつけた。
 先日、所属するポルトガル1部ベンフィカからベルギー一部シント=トロイデンへの移籍を発表したパリ五輪日本代表の守護神に、パリ五輪への熱い思いを独占インタビュー!

「監督の言葉が胸にまっすぐ刺さります」

――大岩剛監督は、小久保選手にとって、どんな監督ですか?

小久保 裏表がない正直な人ですね。だから、監督が発する言葉が、自分たちの胸にまっすぐ刺さります。その言葉の端々から選手全員をちゃんと見ているというのがすごく感じられて、足りない部分はちゃんと注意してくれるし、コミュニケーションもキッチリと取ってくれる。代表チームを大事に思ってくれている監督だなと思っています。
 練習中は厳しく指導してくれるのですが、試合でアクシデントがあったときは、𠮟咤激励というよりも、ポジティブな言葉をかけてくれます。
 こんなアクシデントがあった、じゃあ、どうしよう、ここは耐えようとか。選手と同じ立場で考えてくれて、選手たちを前向きにさせてくれるんです。

――では、パリ五輪の目標はズバリ?

 「個人の差はすぐに埋めることは…」

小久保 大岩監督がずっと言っていますけど、メダルを取りたい。もちろん、誰もが優勝を目指していますけど、その前に3位入賞です!

――パリ五輪で、できれば対戦したくないチームはありますか?

小久保 チームのみんなとよく話すのが、スペインとはやりたくないなと。過去に親善試合をしたときは、自分たちは何もできなかった。だからこそ、パリ五輪のアジア予選を1位で突破できたのは大きかったと思います。2位突破だと、グループステージCでスペインと対戦しますから。
 アジアでチャンピオンになることが目標でしたが、スペインとの対戦を避けて、グループステージの負担を少しでも軽くできたのは、よかったと思いますね。

――パリ五輪で入賞、そして優勝するために足りないものはありますか?

小久保 予選と本選では相手チームの強さが違うので、個人の能力では歯が立たないというか、フランスやスペインなどの強豪に勝つためには、チームとしての力を上げないといけない。
 個人の差はすぐに埋めることはできないけど、今のチームの結束力の高さを見ると、日本人らしく、11人のチームプレーで戦ったら勝てると思っています。
 だから、チーム力の向上ですね。11人で勝ち切る、あのメンバー全員で勝ち切る、そうすれば、メダルを狙えると思っています。

――今後、チームをどう引っ張って、どう鼓舞していきますか?

小久保 先頭に立つというよりは、後ろから支えたい。U-23日本代表キャプテンの藤田譲瑠チマくんが、そうなんです。
 1人の選手としても、友達としても関係が作りやすくて、リーダーシップがあるんだけど、意見が言いやすいというか。彼のように後ろから支える存在のキャプテンが、今のチームに非常に合っていて、それが11人で勝つことにつながっている。自分も、そうありたいと思っています。

――では、パリ五輪出場権を獲得し、アジア王者にも輝いた「AFC U23アジアカップ」を振り返らせてください。

小久保玲央ブライアン(こくぼ・れお・ぶらいあん) 2001年1月23日生まれ、千葉県出身。193センチ、91キロ。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は柏エフォートFCでプレー。柏レイソルU-15、U18で才能を伸ばし、18年、柏レイソルトップチームへ。同年1月開催の「アルカス国際カップ」で大会最優秀GKに選出されたことで世界的に注目され、翌19年1月、ポルトガル1部の強豪SLベンフィカのU-23チームに加入することに。20年8月には、UEFAユースリーグ決勝でレアル・マドリードと対戦。2-3で敗れるも、大会準優勝に貢献した。同年10月、2部SLベンフィカBで初ベンチ入り。22年1月、Bでデビューを果たし、5月にトップチームで初ベンチ入り。日本代表としては、U-15代表候補に選ばれたのを皮切りに、各年代で選出。今年4月のAFC U23アジアカップでは、数々のビッグセーブでパリ五輪出場権、アジア制覇に貢献。7月11日、ベルギー1部のシント=トロイデンVVへの完全移籍を発表した。

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