「大相撲名古屋場所・10日目」(23日、ドルフィンズアリーナ) 大関琴桜が新関脇大の里を上手投げで下して勝ち越しを決めた。平幕美ノ海が敗れたため、ただ一人2敗を死守。大関の意地にかけて、横綱照ノ富士を追走する。照ノ富士は関脇霧島を小手投げ…

 「大相撲名古屋場所・10日目」(23日、ドルフィンズアリーナ)

 大関琴桜が新関脇大の里を上手投げで下して勝ち越しを決めた。平幕美ノ海が敗れたため、ただ一人2敗を死守。大関の意地にかけて、横綱照ノ富士を追走する。照ノ富士は関脇霧島を小手投げで退け、無傷の10連勝。霧島は5敗となり、1場所での大関復帰に後がなくなった。かど番の大関貴景勝は、行司軍配差し違えで関脇阿炎にはたき込まれて6敗目を喫した。

 早々と優勝争いを終わらせるわけにはいかない。大関の仕事をした琴桜が、両手についた砂をパンとたたいて払い落とした。気迫十分に勝ち越しを決め、照ノ富士との2差を唯一キープした。

 細かい突っ張りで大の里を止め、回り込んで先に左上手を引いた。相手に得意の右を差されて投げにいったところは敗れた夏場所と同じだったが、先に攻めたこの日はしっかりと体を開き、腹ばいにさせて雪辱。「我慢していけた。自分の相撲にこだわっていこうと思った」とプライドをにじませた。幕内後半戦の九重審判長(元大関千代大海)も「投げも際どくない。お互い十分で力の差」と格の違いを認めた。

 横綱とのマッチレースの様相で迎える終盤。琴桜は「いつも通りやっているだけ。どの一番も落としていいわけじゃない」と厳しい表情を崩さなかった。悲願の初Vへ、最後まで食らいつく。