(23日、第106回全国高校野球選手権岩手大会準決勝、一関学院2―6花巻東) 1点を先取した一関学院は三回裏、四球と安打などで逆転され、なお1死二塁の場面。二枚看板の一人、小山礼莉(らいり)投手(3年)がマウンドへあがった。交代する時、先…

 (23日、第106回全国高校野球選手権岩手大会準決勝、一関学院2―6花巻東)

 1点を先取した一関学院は三回裏、四球と安打などで逆転され、なお1死二塁の場面。二枚看板の一人、小山礼莉(らいり)投手(3年)がマウンドへあがった。交代する時、先発の高沢奏大(かなた)投手(3年)から「ごめん。あとは任せたぞ」と託された。

 絶対にこれ以上失点しない――。そう気合を入れて自信のあるスライダーで攻め、2者連続空振り三振に。グラブをたたき、「よっしゃあ!」とガッツポーズ。ベンチに走り、仲間とハイタッチして喜びあった。

 しかし、春王者の圧力が襲いかかる。五回裏、内野安打と四球で無死一、二塁のピンチに。自らの送球エラーなどが絡んで3点を奪われた。「足が速いチームだからと警戒していたけれど、警戒しすぎて焦りが出てしまった。1人目のミスを引きずって切り替えられなくて、ミスを重ねてしまった」

 粘りの投球を続けたが、味方の反撃は及ばず、敗れた。試合が終わり、スタンドへあいさつすると、涙が止まらず立てなかった。三回からのリリーフに、高橋滋監督は「傷口が広がる前に食い止めたかった。よく投げてくれた。ありがとう」とたたえた。

 二枚看板としてチームを支えてきた高沢、小山の両投手。高沢投手は「互いの良い部分を吸収し合って切磋琢磨(せっさたくま)できた。本当によく投げてくれた。感謝でいっぱい」。小山投手は「勝ちたかった。本当に悔しい。一緒に2人でチームを引っ張れてよかった」。惜しまれつつ好投手たちの夏が終わった。(藤井怜)