(23日、第106回全国高校野球選手権京都大会準々決勝 鳥羽3―0洛星) 1点差を追う五回表2死、アニメ「ドラゴンボール」シリーズの歌が流れるなか打席に立ったのは洛星主将の孫侑摩さん(3年)。三塁線を破る二塁打を放ち、すぐさま三盗を決めた…

 (23日、第106回全国高校野球選手権京都大会準々決勝 鳥羽3―0洛星)

 1点差を追う五回表2死、アニメ「ドラゴンボール」シリーズの歌が流れるなか打席に立ったのは洛星主将の孫侑摩さん(3年)。三塁線を破る二塁打を放ち、すぐさま三盗を決めた。「狙っていた。ノーサインでした」。仲間を鼓舞したかった。

 洛星の部員数は18人。「少ないからこそ全員をしっかりと見て、団結することができる」と、部員の少なさこそが強みだと考えてきた。

 初回、二塁手の孫さんは先頭打者の打球を一塁に悪送球。孫さんにとって今大会はじめてのエラー。「未熟な部分がでてしまった」。それでも「落ち着け」「一つずつアウトを重ねていこう」という仲間からの励ましで孫さんは立ち直った。周りの声かけが力になった。

 新チーム結成当初、孫さんは自分のことに精いっぱいで、周りを見る余裕がなかった。そんな自分に、最後まで仲間がついてきてくれたことがうれしかった。「自分の方が成長させてもらった3年間でした」

 孫さんは「勝ちきれなかった。悔しいです」と語るが、洛星にとっては18年ぶりの夏の準々決勝の舞台だった。洛星の中村好邦監督は「とにかく一生懸命に、高い目標をもってやってくれました」と選手をたたえ、言葉をつまらせた。(木子慎太郎)