(23日、第106回全国高校野球選手権滋賀大会準々決勝 近江5―4伊香) 今までの野球人生で一番悔しかった――。伊香のエース竹原夏輝投手(3年)がそう振り返る試合がある。 今春の県大会。3回戦で近江と対戦した。竹原投手が先発し、4点リード…

 (23日、第106回全国高校野球選手権滋賀大会準々決勝 近江5―4伊香)

 今までの野球人生で一番悔しかった――。伊香のエース竹原夏輝投手(3年)がそう振り返る試合がある。

 今春の県大会。3回戦で近江と対戦した。竹原投手が先発し、4点リードで九回を迎えた。だが、同点に追いつかれ、延長十回の末に5―6で敗れた。気の緩みがあった。

 昨秋から背番号1を付ける大黒柱。春の反省を踏まえて、夏に近江に勝つために練習に励んだ。

 力のある直球が武器だ。最速は138キロ。投球時にぐっと力を入れて放るから、球の回転数が多い。打者には球速以上に速く見え、重く感じる。

 今大会では、磨いた直球と変化球をコントロールよく投げた。滋賀短大付を完封、瀬田工を7回1失点に抑えて、近江との再戦にたどり着いた。

 気合十分で臨んだこの日は、ペース配分を考えて変化球主体で打たせて取った。打撃でも3安打1打点と気を吐いた。だが、八回に連続適時二塁打で逆転され、降板した。

 リベンジはかなわなかったが、「しっかり力は出し切れた。大学では真っすぐで三振を取れるピッチャーになりたい」。目に涙はなかった。(仲程雄平)