（23日、第106回全国高校野球選手権大分大会準々決勝 明豊11―2柳ケ浦） 昨夏の覇者・明豊との一戦。柳ケ浦のエース中山英政投手（3年）は試合前、監督から告げられていた。「ピンチがあればいくぞ」 その時は序盤で訪れた。二回表2死満塁。先発…
（23日、第106回全国高校野球選手権大分大会準々決勝 明豊11―2柳ケ浦）
昨夏の覇者・明豊との一戦。柳ケ浦のエース中山英政投手（3年）は試合前、監督から告げられていた。「ピンチがあればいくぞ」
その時は序盤で訪れた。二回表2死満塁。先発の杉本羽輝（つばさ）投手（2年）が乱れ、マウンドに上がった。
「背番号1番をつけている以上はチームの一番に立たないといけない」。これまで気迫の投球を続けてきた。初戦の別府翔青戦では杉本投手と2人で延長十一回タイブレークにもつれた試合を投げ抜いた。
迎えた打者を四球で押し出し、次打者に走者一掃の二塁打を浴びた。「抑えたい気持ちが高ぶって、四球だったり、甘くなったりして打たれた」。四回表にもピンチを迎え、マウンドに集まった仲間と「自信持ってプレーしよう」と話したが、明豊を抑えることはできなかった。
意地を見せたのは、その裏だった。死球で走者が出て無死一塁。直球をフルスイングすると左翼席に届く2点本塁打となった。だが、ダイヤモンドを回る中山投手に笑顔はなかった。
いつか倒したいと思っていた明豊。「期待に応えられず、悔しい」。その言葉を残して、球場に背を向けた。（大村久）
