(23日、第106回全国高校野球選手権岐阜大会準々決勝、岐阜第一6―5大垣工) 5―5で同点の九回、大垣工は2死二塁のピンチを迎える。マウンドの野原聖大投手(3年)は、この回をしのいで延長に持ち込みたいと考えていた。「自分たちは延長戦に強…

 (23日、第106回全国高校野球選手権岐阜大会準々決勝、岐阜第一6―5大垣工) 5―5で同点の九回、大垣工は2死二塁のピンチを迎える。マウンドの野原聖大投手(3年)は、この回をしのいで延長に持ち込みたいと考えていた。「自分たちは延長戦に強い」

 1回戦の武義戦、3回戦の岐阜北戦をいずれも延長で制してきた。

 この日はスライダーやカーブ、直球で追い込み、決め球は直球という組み立て。自信がある直球を岐阜第一の楠本莉生選手(2年)に思い切り投げ込んだが、痛恨の内野安打に。二塁走者の阪口笙選手(3年)が本塁に滑り込み、ガッツポーズ。勝ち越しを許した。

 この日の対戦相手・岐阜第一は昨秋の県大会で優勝、今春の県大会3位の強敵だ。だが試合前、同じ大垣市内にある大垣西と3回戦で接戦を演じている映像を見て、「自分もいけるかもしれない」と自信を持った。「力いっぱい投げよう。打ち損じもある」

 いったんは3点リードしたが、強打の岐阜第一から毎回のように安打を浴び、走者を背負う。バッテリーを組む佐久間鉄平捕手(3年)はピンチのたびに励ました。「3試合も完投してきたんだ。自信を持て。思い切って腕を振れ」

 だが連投による疲れもあった。中盤以降は失投が増える。七回には四死球と長短3安打。同点に追いつかれた。それでも「自分にできる精いっぱいの投球をしよう」。

 九回の攻撃は3人で抑えられ、延長戦には持ち込めなかったが、力は出し切った。「第一を苦しめ、ベスト8まで行けました。悔しいですが、悔いはありません」と前を向いた。(高原敦)