(23日、第106回全国高校野球選手権宮城大会決勝 聖和学園8―5仙台育英) 仙台育英の須江航監督はすがすがしい表情で言った。「悔しいけど完敗です。すべての角度で聖和学園さんが強かった」 2年連続で全国選手権決勝に進出した仙台育英が、甲子…

 (23日、第106回全国高校野球選手権宮城大会決勝 聖和学園8―5仙台育英)

 仙台育英の須江航監督はすがすがしい表情で言った。「悔しいけど完敗です。すべての角度で聖和学園さんが強かった」

 2年連続で全国選手権決勝に進出した仙台育英が、甲子園未経験の聖和学園に敗れた。それも、最速151キロの右腕山口廉王(3年)ら、強みとする投手陣、左右5投手が計19安打を浴びせられた。

 須江監督が試合のポイントに挙げたのは、試合開始直後のプレーだ。

 「相手に勇気を与えてしまった」

 一回の初球、山口は147キロ速球で見逃しストライクを奪った。今大会9回⅓を無失点に抑えてきたエースの調子は良かった。

 ただ、聖和学園の先頭打者を二ゴロに仕留めたものの、ファウルで粘られて11球も投げさせられた。「しぶとい」。140キロ後半の速球にも、振り遅れなかった。決め球のフォークにも、対応された。

 バットを短く持ち、果敢に振ってくる相手打線。2死走者無しから二塁打と三塁強襲の内野安打で1点を奪われた。味方が二回に2―1と勝ち越してくれた直後の三回は、内野安打3本とスクイズ、犠飛で3失点。逆転を許した。

 今大会を通じて初めて追いかける展開になった。打線は思い切りよくストライクゾーンで勝負してくる右の変則投手を捉えられず、エース右腕への継投で逃げ切られた。得点した直後に失点する流れが続き、終始ペースを握られた。

 仙台育英は、2022年夏に東北勢初の全国制覇、昨年夏に全国準優勝を経験した。だが、昨秋の宮城県大会準々決勝で東陵に敗れて選抜出場を逃すと、この夏も、甲子園にたどりつくことはできなかった。

 須江監督は「(いまの3年生は、夏の甲子園で)優勝した1年生の時と、一歩及ばなかった2年生の時とで何が違うのかなっていう、あるようでないような答えをずっと探し続けてきた子たち。最後は報われてほしいと思いましたけど、相手が強かった」。=楽天モバイルパーク宮城(大宮慎次朗)