26日に開幕するパリ五輪の開会式では、選手団が船に乗り、市中心部を流れるセーヌ川を入場行進する。史上初めてのスタジアム外での実施のため、川沿いの約10キロを「テロ警戒区域」に指定し、立ち入りを厳しく規制するため、市民は一足早くバカンスに出…

 26日に開幕するパリ五輪の開会式では、選手団が船に乗り、市中心部を流れるセーヌ川を入場行進する。史上初めてのスタジアム外での実施のため、川沿いの約10キロを「テロ警戒区域」に指定し、立ち入りを厳しく規制するため、市民は一足早くバカンスに出かけ、区域内は閑散としている。

 セーヌ川沿いのルーブル美術館近くのチェックポイントでは20日、4人の警官らが通行人の荷物検査などを行い、長い行列ができていた。

 テロ警戒区域は18日に設定された。歩行者と自転車は区域に入ることができるが、事前に政府の専用サイトで名前や生年月日などを入力し、身分証明書のコピーや写真を添付して、取得したQRコードの提示が必要だ。

■QRコードの取得に2日間

 ニューヨークから来た米国人夫婦のセンティア・ジョンさん(49)とアンドリュー・カスパーソンさん(42)は、橋を渡って対岸のカフェに行くため、QRコードを申請したが、取得までに2日もかかったという。

 結婚10周年を祝う旅行だったが、中心部には至る所にフェンスが設置され、観客席の設置でセーヌ川の橋は日に日に通行止めになった。センティアさんは「初めてのパリだったけど、どこに行くにも通行予約が必要で、旅行にはあまりいいタイミングではなかった」と肩をすくめた。「QRコードを持っていない」と戸惑う観光客も数多くいた。

 ただ、いったん警戒区域内に入ると、ひっそりと静まり、「カンカン」という仮設の観客席を設営する工事の音が響いていた。