(22日、第106回全国高校野球選手権福岡大会準決勝 近大福岡3―4西日本短大付) 近大福岡の田辺周投手(3年)は昨秋、主将を託された。「みんなをまとめられるような性格じゃない」。不安だった。でも、チームの期待を背負い、1年からマウンドで…

 (22日、第106回全国高校野球選手権福岡大会準決勝 近大福岡3―4西日本短大付)

 近大福岡の田辺周投手(3年)は昨秋、主将を託された。「みんなをまとめられるような性格じゃない」。不安だった。でも、チームの期待を背負い、1年からマウンドで経験を積ませてもらってきた。やるしかない、と覚悟を決めた。

 仲間に積極的に声をかけるタイプではない、と自分で思う。でも、声を出し続けた。「元気出していくぞ!」。エースとしての力を見せれば、ついてきてくれるはず。下半身を徹底的に鍛え、球速は140キロ台に。変化球も磨いた。すると、仲間から声をかけられるようになった。「頼むぞ」

 期待を力に変え、迎えた今大会。接戦を制して勝ち上がると、準々決勝で昨夏王者の九州国際大付を完封。仲間と喜びを爆発させた。

 この日は苦しんだ。回が進むと、疲れと暑さで足を何度もつりそうになった。指のマメがつぶれた痛みで、思い通りの球がいかない。ピンチを招き、マウンドと外野を行き来する展開となり、九回裏にベンチへ。それでも笑顔を絶やさず、仲間に声をかけ続けた。

 延長タイブレークで敗退。悔し涙とともに、今度は自分で決めた。絶対、この経験を無駄にしない。大学でもエースになり、チームを引っ張る。(山本達洋、石垣明真)