(22日、第106回全国高校野球選手権香川大会準々決勝、丸亀2―4三本松) 「海よ~ 祈りの海よ~」 七回裏、三本松の攻撃が始まる直前、三塁側スタンドに力強い歌声が響いた。メガホンを手に学生コーチの前谷優心さん(3年)が声を振り絞った。 …

 (22日、第106回全国高校野球選手権香川大会準々決勝、丸亀2―4三本松)

 「海よ~ 祈りの海よ~」

 七回裏、三本松の攻撃が始まる直前、三塁側スタンドに力強い歌声が響いた。メガホンを手に学生コーチの前谷優心さん(3年)が声を振り絞った。

 前谷さんのソロで始まる「ダイナミック琉球」は三本松の定番応援歌だ。大会の初戦から毎回7回に歌ってきた。

 小学4年から野球を始めた。甲子園に出場した三本松の選手たちに憧れて野球部に入った。

 ただ、高校1年の夏の大会のあと、急に身体に力が入らなくなった。ベッドから起き上がることもままならない状態になった。中学時代、頭痛やだるさで起き上がることが難しくなる起立性調節障害と診断されたことがあった。

 その後、症状は和らいだが、高校1年の秋に「チームに迷惑をかけたくない」と退部を伝えた。日下広太監督から「やめる理由ではなく、続ける理由を考えてほしい」と諭され、「支える側として甲子園を目指そう」と学生コーチへ転身した。

 今はバッティングやピッチングフォームなどを研究して部員にアドバイスしたり、相手投手の配球や変化球の種類、外野手や捕手の肩の強さなどを分析し、選手や監督に共有する役割もこなす。丸亀戦でも前谷さんの分析が生かされ、相手打線を抑えることができた。

 試合は丸亀に2点差まで迫られるも、逃げ切った。

 「ハラハラしたけれど、粘り強く勝ち切ってくれた。次もみんなに勝ってほしいという思いで応援します」(和田翔太、木野村隆宏)