(22日、第106回全国高校野球選手権福島大会3回戦 二本松実3―6磐城) ふだんの練習の、ほんの少しの心がけが生んだランニングホームランだった。 四回、二本松実の先頭は渡辺怜佑(りょうすけ)主将(3年)。ストライク、ボールと続いた3球目…

 (22日、第106回全国高校野球選手権福島大会3回戦 二本松実3―6磐城)

 ふだんの練習の、ほんの少しの心がけが生んだランニングホームランだった。

 四回、二本松実の先頭は渡辺怜佑(りょうすけ)主将(3年)。ストライク、ボールと続いた3球目、磐城の先発山田柊児投手(3年)はカウントを取りに行くつもりで、調子が出ていた直球を投げたが、少し浮いてしまった。

 「主将として、ここで打たないと」。渡辺選手は見逃さず、バットを振り切った。打球が右中間方向へ飛んだのは見えたが、あとはどうなったかわからない。コーチャーが腕を回すのを信じ、前だけを見て全力疾走。本塁へ足から滑り込んだ。

 送球がわずかにそれ、磐城の湊一真捕手(3年)が体を伸ばして捕球したぶん、かろうじてセーフだった。

 50メートル走6・8秒と、渡辺選手はチームでも足は速い方。それを生かすため、打った直後にトップスピードで走れるよう、打撃練習で球を打つたび一塁方向へ一歩走り出す動作を繰り返してきた。「その効果もあったと思う」

 チームは2年連続で16強どまり。「8強は見える景色が違う、と監督から聞いていた。見たかった」と無念そうだった。(西堀岳路)