2024年J1も7月20・21日に行われた第24節で2024年中断期間は突入。8月7日の再開までの2週間で各チームともに戦力補強や戦い方の再構築などに奔走することになる。  現時点での上位陣の状況を確認しておくと、首位を走るのは勝ち点49…

 2024年J1も7月20・21日に行われた第24節で2024年中断期間は突入。8月7日の再開までの2週間で各チームともに戦力補強や戦い方の再構築などに奔走することになる。

 現時点での上位陣の状況を確認しておくと、首位を走るのは勝ち点49の町田ゼルビア。2位は同44のガンバ大阪だ。3位の鹿島アントラーズはガンバと同勝ち点だが、得失点差で1下回っている。その下の4位が同42の昨季王者・ヴィッセル神戸で、5位が同40のサンフレッチェ広島という状況だ。この5チームが10ポイント差の間にいて、優勝争いは彼らに絞られたという印象が強い。

 今季J1初昇格の町田がリーグ後半までトップを走り続ける展開というのは、多くの人が予想しなかっただろう。しかしながら、黒田剛監督のスキを作らないスタイルがチーム全体に浸透。堅守とカウンター、リスタートを徹底的に磨き上げたことで、異例の事態が現実となっている。

 ただ、ここへきて、ややペースダウンが見られるのも事実。7試合ぶりの黒星を喫した7月20日の横浜F・マリノス戦を見ても、前線からのハイプレスの迫力が低下し、攻撃陣の推進力や勢いも前半戦ほどではなかった。やはりパリ五輪世代の藤尾翔太、平河悠(ブリストル)の離脱、今季6ゴールを挙げている長身FWオ・セフンの負傷は想像以上に大きなダメージになっている様子だ。

■リーグ最少失点はG大阪

 それでも、町田にはサイバーエージェントの強大な資金力がある。複数の報道によれば、日本代表相馬勇紀名古屋グランパスから完全移籍で近日中に獲得する方向で、平河の後釜に据えるという。確かに突破力のある相馬がいれば、サイドでの局面打開力が上がり、チャンスメークやフィニッシュの回数も増えるはずだ。1年半ぶりの日本の猛暑の中、彼がどこまで走力と運動量を発揮できるかは未知数だが、大きな戦力になるのは間違いない。

 すでに日本代表経験のある杉岡大暉湘南ベルマーレから補強しており、必要な人材は積極的に取りに行くだろう。そのアプローチが奏功すれば、このまま一気にタイトルということもないとは言えない。町田が偉業を達成するか否かが今後の大きな見どころになるのは間違いなさそうだ。

 その彼らに立ちはだかろうとしているのが、ガンバと鹿島の両名門クラブだろう。ダニエル・ポヤトス監督就任2年目の彼らは中谷進之介という大きな戦力を獲得し、守備的な戦いに舵を切った。その成果が総失点18というリーグ最少失点である。

「基本的にはつねに失点をしそうな雰囲気っていうのは今、どの試合もない。全員で体を張る中で最後、そこを抜け切ったボールを(一森)純君がしっかり止めている。今、本当に守備に関しては失点数も含めてすごくいい状態だと思います」と宇佐美貴史も6月末に語っていたが、6月30日の町田戦を除いて複数失点している試合は見当たらない。

■G大阪の夏の動向

 けれども、得点の方が伸び悩んでいる。総得点28というのは下位に沈むジュビロ磐田や湘南ベルマーレよりも少ない。今季のガンバは目下8ゴールを奪っている宇佐美依存が顕著で、それ以外の明確な得点源がいないというのが気がかりな点である。

 ただ、7月に入ってからイッサム・ジェバリや坂本一彩らFW陣にゴールが生まれているのは朗報。彼らの決定力がもう一段階上がり、チャンスメークで貢献しているウェルトンにも得点がついてくれば、もう少し状況は改善するはずだ。

 宇佐美、中谷、一森という特定の選手への依存状態からいち早く脱し、攻守両面で戦力アップ、選手層拡大が進んでいけば、町田を捉えることもないとは言い切れない。重要なのはここからもう一段階ギアを上げること。夏場の補強を含め、その動向を注視すべきだろう。

(取材・文/中地拓也)

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