今季序盤から”町田追走一番手”という位置づけだった鹿島アントラーズも、6~7月の足踏み状態が響いて5ポイント差のまま中断期間に入った。前半戦を振り返ると、3-0から3-3に追いつかれた5月12日の東京ヴェルディ戦、2-0から2-2にされた…

 今季序盤から”町田追走一番手”という位置づけだった鹿島アントラーズも、6~7月の足踏み状態が響いて5ポイント差のまま中断期間に入った。前半戦を振り返ると、3-0から3-3に追いつかれた5月12日の東京ヴェルディ戦、2-0から2-2にされた6月22日の浦和レッズ戦などの取りこぼしがなければ、町田をかわして首位に立っていた可能性もあっただけに、そのあたりが痛かったのは確かだ。

 吉岡宗重フットボール・ダイレクター(FD)も「ゲームマネージメントに課題がある」と話していたが、それは岩政大樹監督が率いていた昨季からもしばしば散見されたこと。直近20日のFC東京戦は何とか2-1で勝ち切り、勝ち点3を上乗せできたが、再開後もそういうペースで行かないと町田を上回ることはできない。それはランコ・ポポヴィッチ監督もよく分かっているはずだ。

 鹿島にとって朗報は三竿健斗の1年半ぶりの復帰だろう。ボール奪取力に秀でた佐野海舟の穴埋めに加え、手薄なセンターバック(CB)を補強できる人材として、彼は最適と言っていい。ここから本格的にコンディションを上げていけば、計算できるパフォーマンスを発揮してくれるはずだ。

■堅守速攻が最大の売り

 その反面でチャヴリッチの負傷という懸念材料も生じている。彼が再開後のどの段階で復帰してくるかで得点力は大きく変わる。17歳の徳田誉も徐々に存在感を発揮しつつあるが、鈴木優磨依存状態ではどこかで躓きかないとも限らない。クラブ側が補強に動くかどうかが気になるところだ。

 4位・神戸に関しては、6月の代表ウイーク明け以降、2勝3分1敗と勝ち切れない状況が続いているのが気がかりだ。とりわけ直近20日の名古屋グランパス戦はケガで長期離脱中の酒井高徳、今季リーグ戦初のベンチ外になったキャプテン・山口蛍の不在が響き、シーズンワーストの3失点を喫している。

 吉田孝行監督が構築してきた神戸というチームは堅守速攻が最大のウリ。失点を最小限に抑え、大迫勇也武藤嘉紀ら決定力ある前線のゴールで勝ち切るというスタイルで昨季頂点をつかんでいる。そのベースが崩れてしまったら連覇には手が届かない。それは指揮官も選手たちも肝に銘じている点だろう。酒井高徳が再開後も復帰できない分、彼ら代表経験者に頼らない強固な守備組織を作っていくことが肝心ではないか。

 そして5位の広島も川村拓夢(ザルツブルク)、野津田岳人(パトゥム)らの移籍、荒木隼人らのケガも重なり、選手のやりくりに苦慮し、なかなか勝ち切れない時期が続いていたが、直近の7月14日のアビスパ福岡戦、21日のサガン鳥栖戦を連勝。勝ち点を40に乗せて中断期間に入ることができた。

■新たな守備陣が奮闘

 鳥栖戦を見る限りだと、キャプテン・佐々木翔不在の中、イヨハ理ヘンリーが入った新たな守備陣が奮闘。ボランチの松本泰志も調子を上げ、ゴールという形でチームに貢献していた。そして今季11得点という目覚ましい数字を残している大橋祐紀も絶好調。新エースの誕生にミヒャエル・スキッベ監督も大きな手ごたえをつかんでいるはずだ。

 彼を中心にピエロス・ソティリウ、ドゥグラス・ヴィエイラ、加藤陸次樹、満田誠らが確実に決めるべきところで決めていけば、彼らはもっと順位を上げられる。町田との9差は厳しいが、飛躍の可能性はありそうだ。

 上記の通り、上位5強の状況はさまざまだが、8月21日までの第2移籍期間でどういう動きがあるかによって、今後の動向が左右される部分も少なくない。そういう意味では、資金力のある町田、神戸はかなり有利かもしれない。ここからの人の動きも注視しつつ、再開後の上位5強の戦いぶりを見極めていくことが重要だ。

(取材・文/元川悦子)

いま一番読まれている記事を読む