「阪神12-3広島」(21日、甲子園球場) この瞬間が心地いい。阪神・木浪聖也内野手は笑顔で勝利のハイタッチの列に加わった。左肩甲骨の骨折から復帰後初安打&初適時打。久しぶりに全身で聖地の大声援を浴びた。 「ホッとした部分もありますけど。…

 「阪神12-3広島」(21日、甲子園球場)

 この瞬間が心地いい。阪神・木浪聖也内野手は笑顔で勝利のハイタッチの列に加わった。左肩甲骨の骨折から復帰後初安打&初適時打。久しぶりに全身で聖地の大声援を浴びた。

 「ホッとした部分もありますけど。まだまだ、もっと貪欲に打てたらと思います。勝ったというのが一番よかった」

 1軍に戻ってきて3試合目。待望の一打は三回に飛び出した。猛攻で一気に試合をひっくり返し、なおも2死一、二塁の好機で打席へ。亜大の先輩である九里が投じたチェンジアップに反応。打球は右前への適時打となり、リードを4点に広げた。

 死球を受けて離脱した6月15日のソフトバンク戦以来となる快音。「骨折してしまったことは仕方がないんで。もう一回作り直す時間ができたと思って」と、再び戦力になるために、前だけを向いて約1カ月間のリハビリ生活を送っていた。

 ただ、シーズン真っただ中。もちろん野球ができない悔しい気持ちはあった。でも、それを口にしても何も変わらない。「今があったからと思えるように」と、できることを見つけてレベルアップにも励んだ。体力を落とさないために、炎天下で走り込む日もあった。

 リハビリが終われば、テレビで1軍の試合を観戦。「自分が出たい気持ちもありますけど、小幡には頑張ってほしい」と自身が抜けた遊撃を担っていた後輩の奮闘を願っていた。

 もう同じ日々は過ごしたくない。先頭の六回には右腕に死球を受けて場内は騒然としたが、「大丈夫。とっさにグッと固まったんで。よかった」と笑みを浮かべた。

 前半戦を納得のいく形で締め、後半戦からはエンジン全開だ。「これまで支えてくれた人にプレーで返していけたらと思います」と木浪。再び仕事場に戻った背番号0はチームの勝利に貢献するためにグラウンドで使命を果たす。