「阪神12-3広島」(21日、甲子園球場) 前半戦最後に最高の試合が待っていた。阪神が5者連続を含む先発野手全員タイムリーで今季2度目の2桁得点を挙げ、連敗を4で止めた。ここまで貧打の象徴だった佐藤輝明内野手(25)が三回に勝ち越し適時打…

 「阪神12-3広島」(21日、甲子園球場)

 前半戦最後に最高の試合が待っていた。阪神が5者連続を含む先発野手全員タイムリーで今季2度目の2桁得点を挙げ、連敗を4で止めた。ここまで貧打の象徴だった佐藤輝明内野手(25)が三回に勝ち越し適時打を放てば、大山悠輔内野手(29)は六回にトドメの7号2ラン。首位・巨人とは3・5ゲーム差の4位で、8年ぶりのBクラスターンとなったが、球団史上初のリーグ連覇は射程圏だ。

 前半戦最後の一戦、甲子園はお祭り騒ぎになった。面白いほど打線がつながる。これまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすように、打線が爆発。苦しみ続ける中、チーム全員で明るい光をつかんだ。

 その中でも、前半戦苦しんだ主軸2人の活躍が大きかった。まずは佐藤輝だ。三回同点に追いつくと、なおも2死一、三塁。九里の初球、直球を捉え、右前適時打で勝ち越しに成功。「早いカウントで捉えられたので良かった」とうなずいた。

 大山も続いた。「打つだけでした」と直球を中前適時打に。5者連続適時打、打者一巡の猛攻で一挙6得点。聖地が沸きに沸いた。しかし、これは序章に過ぎなかった。4点リードの六回も打線が爆発して3点を追加。なおも1死二、三塁。佐藤輝が中犠飛で追加点を挙げると、とどめを刺したのは大山だった。

 「最後まで何点差あっても何があるか分からないのが野球ですし、1点でも多くと」。2死三塁で矢崎の146キロ直球を左翼スタンドへズドン。4日・広島戦で自身が放ったソロ以来、チームとして14試合ぶりの一発となる7号2ランで、この回も6得点と勝利を確信させた。

 佐藤輝、大山は前半戦、ともに打撃不振で2軍降格を経験。復帰してからも本調子とは言えなかった。12日・中日戦では3点を追う四回1死二、三塁から大山、佐藤輝が連続三振。好機で主軸2人に一本が出ないことが、チームが苦しむ要因にもなっていた。それだけに前半戦最後に2人が勝利に導く快音を響かせた意味は大きい。

 2人だけでなく、全員でつかんだ勝利だ。先発野手全員適時打で連敗を4で止め、貯金1でのターンを決めた。岡田監督は「3連戦に分ければいいけど(笑)。つながればね、みんな後ろに、後ろにというね。そういう形になればね。こういう形になるというのをね、ちょっとは思い出したんじゃないですかね」とにんまり。主軸2人には「打順的にはそこが打てば大量点になるっていう打順やからな、それをな」とさらなる奮起を促した。

 佐藤輝が「僕だけじゃなくてみんなでつないで。そういう打線だった」と話せば、大山は「なかなかうまくいかなくて、歯がゆい試合が続いていましたが、全員の力が一つになって勝てたのが一番。勝つことっていいことだと思いましたし、ゲームセットの瞬間の歓声がたくさん聞けるようにまた全員で頑張りたい」とお立ち台で誓った。球宴を挟んで迎える後半戦も、チーム一丸で上昇気流に乗る。

 ◆先発野手全員打点&5者連続タイムリー 先発野手全員打点は2005年9月10日・広島戦で先発投手を含めた先発全員打点を記録した例がある。また、5者連続適時打は2021年6月29日のヤクルト戦二回以来。この時は近本、糸原、マルテ、サンズ、佐藤輝の連続タイムリーだった。なおこの時は1イニング7連打。