(21日、高校野球秋田大会決勝、金足農6―5秋田商) 人さし指を立ててナンバー1のポーズ。金足農の吉田大輝投手(2年)の笑顔がはじけた。16安打を浴びながらも、最後は本格派のエースらしく、三振で締めくくった。 苦しかった。九回、2連打にバッ…

(21日、高校野球秋田大会決勝、金足農6―5秋田商)

 人さし指を立ててナンバー1のポーズ。金足農の吉田大輝投手(2年)の笑顔がはじけた。16安打を浴びながらも、最後は本格派のエースらしく、三振で締めくくった。

 苦しかった。九回、2連打にバックのミスが重なって1点差に迫られた。この直後にあやがあった。右翼手の近藤暖都選手(3年)の両脚がつり、しばらく試合が中断した。ベンチで休む間に、みんなに声をかけられた。「お前に任せたぞ」

 周囲の励ましが何よりの力になり、もり立てられながらのマウンドだった。

 声だけではない。三回にはバッテリーを組む相馬英典選手(3年)が2死から右越えに公式戦初アーチで援護。「打たれても、次を抑えれば、みんながかえしてくれた」

 七回、1死満塁のピンチもあった。痛烈な打球を同学年の佐藤晃真選手がこぼしながらも止めて三封。すかさず本塁へ転送。相馬が突っ込んだ三塁走者をアウトにした。ミス即失点の場面での着実な併殺に「しびれました」。

 兄の輝星投手(オリックス)は、第100回大会で金足農が全国準優勝したときのエース。その弟として注目され、旋風再びと期待されてきた。

 「重圧もあるけど、努力してきました」。甲子園の話題になると、口調が強まった。「これからが本番。兄たちを超えるのが最終的な目標だから」。高みを目指す者の強さだった。(隈部康弘)