(21日、第106回全国高校野球選手権山口大会 桜ケ丘7―8南陽工) 「大事な場面で力んでしまった。めちゃくちゃ悔しい」 桜ケ丘の前川晴空(はるく)投手(3年)は試合後、そういって唇をかんだ。 この日はリリーフとして四回途中から登板。五回…

 (21日、第106回全国高校野球選手権山口大会 桜ケ丘7―8南陽工)

 「大事な場面で力んでしまった。めちゃくちゃ悔しい」

 桜ケ丘の前川晴空(はるく)投手(3年)は試合後、そういって唇をかんだ。

 この日はリリーフとして四回途中から登板。五回から九回まで相手打線を抑え込んできた。

 外角の直球を中心に打たせて取る投球が身上。投げたいコースにテンポよくボールが決まり、手応えを感じていた。

 沖縄県出身。同郷の先輩を追って桜ケ丘に進学した。親には「自分で決めた道だ。頑張れ」と背中を押された。

 1、2年の冬、練習で腰を痛めた。それぞれ3カ月ほど投げ込めない時期が続いた。一度ならず、二度までも……。「やばいなあ」。力を付けていくライバルを尻目にストレッチや体幹トレーニングに励む日々が続いた。

 けがも癒え、調子を上げて迎えたこの夏。強豪・南陽工との一戦は互いに譲らず延長戦へと突入した。十回表に味方が3点をたたき出し、勝利を確信した。

 あとはおれが抑えてやる。気合を入れて臨んだその裏、制球が乱れる。二つの死球を与え、3安打を浴びた。気がつくと、逆転の走者が本塁を駆け抜けていた。

 「今までで最高のピッチングができていたのに」

 卒業後は関東の大学に進学し、投球術に磨きをかける。「リズムよく、気持ちで投げるピッチャーになりたい」(三沢敦)