(21日、第106回全国高校野球選手権香川大会3回戦、大手前高松1―3英明) 六回裏2死一、三塁。この回3失点を喫し、なおも続くピンチ。マウンド上の大手前高松の藤井優太投手(3年)は心の揺れを見せなかった。目に闘志が宿っていた。 相手打者…

 (21日、第106回全国高校野球選手権香川大会3回戦、大手前高松1―3英明)

 六回裏2死一、三塁。この回3失点を喫し、なおも続くピンチ。マウンド上の大手前高松の藤井優太投手(3年)は心の揺れを見せなかった。目に闘志が宿っていた。

 相手打者を右飛に打ち取ると、「よっしゃー」と雄たけびを上げた。チームが逆転してくれることを信じて。

 中学時代から一目置かれた大会屈指の好投手。秋の県大会では全5試合を投げ、防御率0.56と安定感抜群の投球で大手前高松の初優勝に貢献した。

 ただ、続く四国大会初戦の明徳義塾戦では、投打で圧倒され、八回コールド負けした。自身も毎回の17安打と打ち込まれた。「単純に能力が足りない」と練習への意識を変える転機になった。

 真っすぐや変化球のキレ、制球力を見直すための下半身の強化。今大会までにできることを考え、自分なりに課題を克服した。

 球威も向上し、最速137キロに達した。

 試合は昨夏優勝した英明に1―3で敗れた。「気持ちが前に出すぎた」。試合後、強豪との対決に緊張していたと認めた。

 大リーグ・ドジャースの山本由伸投手のファンで「どんなに打たれても前向きでへこたれない姿勢」を参考にしてきた。

 卒業後は大学に進学し野球を続ける。「負けた悔しさを今後のステージに生かしたい」。決して下を向くことはなかった。(和田翔太)