(21日、第106回全国高校野球選手権大阪大会4回戦 早稲田摂陵14―4信太=5回コールド) 初回、いきなり14失点。打球に何度も飛びつこうとし、ユニホームは真っ黒になった。信太の三塁手、岸部陸主将(3年)だ。 三回裏の攻撃。1死二、三塁…

 (21日、第106回全国高校野球選手権大阪大会4回戦 早稲田摂陵14―4信太=5回コールド)

 初回、いきなり14失点。打球に何度も飛びつこうとし、ユニホームは真っ黒になった。信太の三塁手、岸部陸主将(3年)だ。

 三回裏の攻撃。1死二、三塁というチャンスで打席が回ってきた。

 監督から「お前のチーム。しっかり打席に立って、2年半の思いをぶつけてきなさい」と声をかけられ、笑って応えた。

 新チームになって、ふがいない主将と言われたこともあった。でも、必死にチームをまとめようとしてきた。

 フルカウントからの6球目。外の真っすぐを中前にはじき返す。

 適時打になり、反撃のきっかけとなった。チームはこの回もう1点、次の回にも2点を加えた。守っても二回以降は無失点に抑えた。

 最後の夏はどうでしたか、と聞いてみた。

 少し泣きそうな表情で「最後まで食らいついていくことはできた。みんな野球が大好きで、できると信じていたからここまでこられた」と答えた。(滝坪潤一)