(21日、第106回全国高校野球選手権京都大会4回戦 京都国際4―3塔南・開建) 大舞台で緊張する自分が好きではない。 京都国際の長谷川颯(2年)は公式戦になると、「体が固まって、動けないタイプ」。足も守備も打撃も、自信はある。練習試合で…

 (21日、第106回全国高校野球選手権京都大会4回戦 京都国際4―3塔南・開建)

 大舞台で緊張する自分が好きではない。

 京都国際の長谷川颯(2年)は公式戦になると、「体が固まって、動けないタイプ」。足も守備も打撃も、自信はある。練習試合で結果を出し、1桁の背番号をもらった。小牧憲継監督は「打てたらラッキーくらいの気持ちでいけ」と言ってくれた。

 ただ、公式戦になると本領が発揮できないことが多い。そんな自分を変えたかった。

 全体練習を終えた後、自主的に坂道をダッシュした。約50メートルを10本。「メンタルを鍛えるため」だ。緊張しがちな自分を振り払うかのように、何度も走った。

 ただ、この日は四回に右翼の守備で安打の処理を誤った。「急ぎすぎてしまった」。判断ミスが失点につながり、2点を先取された。

 緊張は増す。直後の攻撃で、2死満塁の好機がめぐってきた。

 次打者席から出る際、「思いっきり深呼吸しました」。体が反るくらい、深く息を吸って、大きく吐いた。

 直球を逆方向にはじき返した。左中間を破る、走者一掃の逆転3点二塁打だ。盛り上がるスタンドやベンチに向かって、自身も感情を爆発させた。

 「メンバー外になった先輩もいる。その応援が力になったし、自分が一番良い選手だと言い聞かせた」

 今春は選抜大会に出場し、近畿大会では初めて頂点に立った。この大会も優勝候補に挙げられるが、「チャレンジャーとして向かっていきたい」と長谷川。大きな自信がわいていた。

 もし、また同じような場面で打席に立ったら?

 「もう、深呼吸はいらないです」=わかさ京都(室田賢)