WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M・T)が、同級1位のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)に強烈な左ボディーストレートを決め1回2分37秒でKO勝ちし、初防衛に成功した。那須川天心(帝拳)は初めての10回戦でジョナサン・ロドリゲス…

 WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M・T)が、同級1位のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)に強烈な左ボディーストレートを決め1回2分37秒でKO勝ちし、初防衛に成功した。那須川天心(帝拳)は初めての10回戦でジョナサン・ロドリゲス(米国)に3回1分49秒TKO勝ち。これでボクシング転向後4連勝(2KO)とした。デイリースポーツ評論家・長谷川穂積氏が、中谷と天心の戦いを分析した。

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 中谷潤人選手は現在の勢いを感じさせる文句なしの完璧な勝ち方だった。右で上を意識させておいて、左ボディーストレートが見事に決まった。決してこれで倒そうというわけではなかったと思うが、とにかくタイミングが抜群。アストロラビオも気合が入っていい表情をしていたし、少し不気味なイメージもあったとはいえ、終わってみれば実力差があり過ぎた。

 自分も現役時代に何度か1ラウンドでKO勝ちしたことがあったが、ほぼダメージを残さず次の試合に向かうことができた。確実に選手寿命が延びることを実感できたし、これは大きなプラスになる。井上拓真選手、武居由樹選手、西田凌佑選手とバンタム級はタレントぞろい。ただ、その中心にいるのが中谷選手なのは間違いない。4団体統一の可能性も十分にある。これからも楽しみしかない。

 那須川天心選手は半歩前で戦えるようになって、より力強く左ストレートが打てるようになった。仕留め切るときの手数の多さ、そこで必要なパンチを選択できる能力、全てにおいてレベルアップしていた。これで自信をつけて、さらに強くなっていけるはず。インタビューを聞いていても、彼なりに覚悟というものが感じられたし、実力の高さを試合で証明したメンタルの強さも評価できる。何らかのタイトルを取って、来年には世界戦の舞台へ立ってほしい。個人的には武居選手との対戦を見てみたいと思う。