「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(20日、両国国技館) WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(26)=M・T=が、同級1位のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)に1回2分37秒KO勝ちし、初防衛に成功した。元人気キック…

 「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(20日、両国国技館)

 WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(26)=M・T=が、同級1位のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)に1回2分37秒KO勝ちし、初防衛に成功した。元人気キックボクサーの那須川天心(25)=帝拳=は、初の10回戦でジョナサン・ロドリゲス(米国)に3回1分49秒TKO勝ちし、転向後4連勝(2KO)。WBO世界フライ級王座決定戦で同級2位の加納陸(26)=大成=は、同級3位のアンソニー・オラスクアガ(米国)に3回2分50秒KO負けを喫した。

 “ネクスト・モンスター”の力を示すのに、3分もかからなかった。中谷の左ストレートが挑戦者のガードの下、ボディーのど真ん中深くに突き刺さると、挑戦者はもん絶の表情を浮かべながら崩れ落ちた。わずか2分37秒の電撃KO劇。初防衛戦となった両国の館内が騒然とした。

 「ちょっと早すぎたかなと思ったけど、すいません。もっと良いパフォーマンスができるように頑張りたいと」

 謙虚な王者も早期決着に苦笑いした。KO勝ちはキャリア21度目だが、世界戦での1回秒殺は自身初。2022年2月に、元世界2階級王者のリゴンドー(キューバ)に判定勝ちを収めている挑戦者を完封した。「(感触が)柔らかくて、これで効くんだと。立ち上がっても詰める準備はしていた」と会心の一発を振り返った。

 バンタム級転向2戦目でも、圧巻のパフォーマンスで盤石ぶりを示した。同階級は自身を含め、WBAの井上拓真(大橋)、IBFの西田凌佑(六島)、WBOの武居由樹(大橋)と日本勢4人で世界のベルトを独占。期待が高まる統一戦は、井上拓との一戦に意欲を示しており「皆さんも望んでいるカード。そこに向けて準備してきたい」と力がこもる。

 統一戦の先に見据えるのは、ファン待望の世紀の一戦。拓真の兄で世界スーパーバンタム級4団体統一王者・尚弥(大橋)との“モンスター対決”だ。いまだ底を見せない無敵の王者は「まだまだだが、一つずつ勝っていって大きなものになれば、おのずと実現する」とビッグマッチを思い描いた。

 さらに、夢は尚弥との対戦だけにとどまらない。「もうひとつ大きな目標としているのが(全階級を通じたランキングの)パウンド・フォー・パウンド1位。そこに向けて大事な統一戦がある」。目指す世界最強の称号へ、26歳の大器は歩みを止めない。

 ◆中谷潤人(なかたに・じゅんと)1998年1月2日、三重県東員町出身。アマチュア戦績16戦14勝2敗。2015年4月にプロデビュー。19年に日本フライ級王座、20年にWBO世界フライ級王座、23年にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得した。WBO世界スーパーフライ級王座のモロニー戦で、米国の最も権威ある専門誌ザ・リングの年間最優秀KO賞に選出された。24年2月にWBC世界バンタム級王座を獲得し、世界3階級制覇を達成した。身長172センチ、リーチ170センチ。