「高校野球群馬大会・3回戦、高崎健康福祉大高崎6-5桐生第一」(20日、上毛新聞敷島球場) 群馬大会では、今春センバツ王者の健大高崎が名門・桐生第一との3時間54分に及ぶ死闘を制し、8強入りを決めた。広島・高山健一スカウト(52)の次男で…

 「高校野球群馬大会・3回戦、高崎健康福祉大高崎6-5桐生第一」(20日、上毛新聞敷島球場)

 群馬大会では、今春センバツ王者の健大高崎が名門・桐生第一との3時間54分に及ぶ死闘を制し、8強入りを決めた。広島・高山健一スカウト(52)の次男である裕次郎内野手(3年)が延長十一回タイブレークにサヨナラ適時打をマーク。甲子園の春夏連覇へ一歩、前進した。21日は南北海道、秋田、沖縄で決勝が行われ、最初の代表校が決まる。

 打席に入る前、スタンドへと視線を向けた。うだるような暑さの中でも活発に青いメガホンが揺れる。「メンバー外になってしまった選手たちを負けさせるわけにはいかない」。仲間の思いを背負い、高山が約4時間の熱戦に終止符を打った。

 取って取られて、そして抑え、5-5で迎えた延長十一回タイブレークの1死一、二塁。「どの球でも必死に食らいついて行こうと思いました」とカウント1-1から甘く入った直球を捉えた。打球はぐんぐんと伸びて中堅手の頭上を越えるサヨナラ適時打に。「上がりすぎたかなとも思ったんですけど、風にも乗ってくれた」。歓喜のナインに迎え入れられ、笑顔でその輪に飛び込んだ。

 まさに「どっしり」とした存在感を示した。元広島の内野手で、現在は同球団スカウトを務める父・健一氏は、東農二で89年夏の甲子園に出場している。今大会前には「どっしり行け」と、センバツ前にも掛られた“合言葉”で激励されたという裕次郎。五回には先制適時打、2点を追う七回には一時同点の適時二塁打と、3安打4打点の活躍でエールに応えた。

 「暑さにも負けず、勝ちだけを考えながらできた。次に苦しい展開が来ても、きょうの成功体験があるので生かせると思います」。2015年から遠ざかる夏の聖地へ、センバツ王者は揺るがない。

 ◆高山 裕次郎(たかやま・ゆうじろう)2007年1月8日生まれ、17歳。群馬県前橋市出身。173センチ、73キロ。右投げ左打ち。荒巻小1年から軟式の前橋北部スターズで野球を始め、南橘中では硬式の前橋ボーイズに所属。健大高崎では1年春からベンチ入り。50メートル走6秒5、遠投105メートル。