(20日、第106回全国高校野球選手権石川大会3回戦 日本航空石川6―1金沢桜丘) 6点を追う九回裏1死三塁。金沢桜丘の田中壱星選手(3年)が甘く入った直球にバットを振り抜く。春の選抜出場校相手に、この試合唯一の得点をあげる適時打になった…

 (20日、第106回全国高校野球選手権石川大会3回戦 日本航空石川6―1金沢桜丘)

 6点を追う九回裏1死三塁。金沢桜丘の田中壱星選手(3年)が甘く入った直球にバットを振り抜く。春の選抜出場校相手に、この試合唯一の得点をあげる適時打になった。

 内灘町の自宅は能登半島地震で液状化の被害に遭い半壊。金沢市内の親戚宅に身を寄せ、春からは学校近くのみなし仮設住宅で過ごしている。

 田中選手は「たくさんの人に支えてもらったからこそ、明るくプレーができた」と振り返る。日々の暮らしが大きく変わる中でも野球を続けさせてくれた家族には感謝しかないという。打席に向かうときも「家族のことを思い出していた」。

 この日、バックネット裏には輪島の選手らの姿もあった。金沢桜丘は自校のグラウンドが断水し、水まきに苦労しながらも輪島の交流試合を準備。日本航空石川は被害が少なかったグラウンドを貸していた。

 元日の地震で傷つきながら、一緒に野球でつながる仲間たち。田中選手は「ワンチームという感じがする」と話す。井村茂雄監督は試合後、選手たちに語りかけた。「残念でしたが、本当に楽しかった。胸を張って帰りましょう」(小崎瑶太)