(20日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会準々決勝 桐光学園2―9横浜) 「あの時と同じじゃない? この形、得意よ!」 五回裏終了後のクーリングタイム中、3点を追う桐光学園の主将、森駿太(3年)は、手をたたきながら、明るくベンチを盛…

 (20日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会準々決勝 桐光学園2―9横浜)

 「あの時と同じじゃない? この形、得意よ!」

 五回裏終了後のクーリングタイム中、3点を追う桐光学園の主将、森駿太(3年)は、手をたたきながら、明るくベンチを盛り上げていた。選手らに自然と笑顔が広がり、「勝負をかけようぜ!」との声が飛ぶ。

 「あの時」とは、昨秋の県大会決勝。相手は同じく横浜だった。一時は6点差がついたが、九回に追いつき、延長十回タイブレークの末に打撃戦を制し、優勝した。右前打で勝利の立役者になったのは、森自身だった。

 六回表無死二、三塁の好機で「気負って打ってこそがキャプテン」と強振したが、三振に倒れた。「思い切りのいい一本を出すために練習してきたが、出せなかった」と悔やんだ。

 六回裏、3連打などで一挙に6失点。「行くぞ行くぞ!」と、三塁の守備位置から声を張り上げ続けた主将に、次の打席が回ってくることはなかった。

 1年夏からスタメンで「夏はひとつひとつのプレーがゲームを左右する」と知っていた。だからこそ、「死にものぐるいで練習してきた」。選抜出場がかなわず、春は準々決勝で敗れ、「『やっぱり桐光は強かった』と言わせたい」と話したこともあった。

 試合後、やり残したことはないと言い切ったが、「気持ちが足りなかったのかな」と泣き崩れた。そして、「みんなには(負けた)責任を負ってほしくない。自分は仲間にカバーされた、みんなに後押ししてもらった主将でした」と語った。

 今後は、目標であるプロ野球をめざす。「支えてくれた人のために、自分の良さを磨いて、やってきたことをもう一回見つめ直して、やるべきことをやります」(手代木慶)