(20日、第106回全国高校野球選手権栃木大会3回戦 石橋2―1宇都宮工) 宇都宮工は春夏の甲子園に計9回出場してきた伝統校。創部(1924年)から100年の記念の年を、2002年春以来の大舞台の試合で飾る夢はかなわなかった。ただ、シード石…

(20日、第106回全国高校野球選手権栃木大会3回戦 石橋2―1宇都宮工)

 宇都宮工は春夏の甲子園に計9回出場してきた伝統校。創部(1924年)から100年の記念の年を、2002年春以来の大舞台の試合で飾る夢はかなわなかった。ただ、シード石橋との競り合いは今大会で屈指の好ゲームになった。

 走者が出れば盗塁を仕掛けるなど、積極的な攻めを見せた。だが相手捕手の強肩に阻まれるなど好機を広げられず。打撃では「外角のボールを見極めて打つ」(大森一之監督)ことを心がけたが、なかなか「仕留めることができなかった」。

 それでも接戦に持ち込めたのは、投手陣の踏ん張り。エースの小島大河(3年)は制球の良さが光った。「甘く入るとどんどん振ってくる」と特に勝負どころで注意を払った。七回途中からは古菅響介(3年)につなぎ、走者を出しても大崩れしなかった。

 九回の反撃は監督の采配が当たった。安打で出た先頭の沼尾優希(2年)を、2点差にもかかわらず犠打で送った。その後の中軸に勝負をかける作戦。3番森大成(3年)、4番西田汐芦(3年)が安打で続き、一打逆転の状況まで相手を追い詰めた。森は「なんとか後につなぐという気持ち。最後はつなぐ野球ができたかなと思う」と語った。

 主将の沢野有輝(3年)は「前半に流れをつくることができなかった」と反省。大森監督は「こういう思いをしないように、下級生は目に焼き付けて、技術もハートも強くなってもらいたい」と述べた。古豪復活の願いは、部の新世紀を担う選手たちに引き継がれた。(津布楽洋一)