(20日、第106回全国高校野球選手権高知大会2回戦 高知農1―9中村) キャプテンは、時につらい。高知農の安岡李紅(りく)主将(3年)はその立場を丸2年間務めた。 この日は背番号2をつけて捕手で出場。正捕手の池添喜貴選手(2年)が2週間ほ…

(20日、第106回全国高校野球選手権高知大会2回戦 高知農1―9中村)

 キャプテンは、時につらい。高知農の安岡李紅(りく)主将(3年)はその立場を丸2年間務めた。

 この日は背番号2をつけて捕手で出場。正捕手の池添喜貴選手(2年)が2週間ほど前、練習中に左手親指を骨折したためだ。

 捕手経験のある安岡主将が急きょ三塁手兼投手からコンバートされた。「チームの危機をいつも安岡主将が救ってきた」と下坂充洋監督。

 安岡主将が1年生の時、2年生は部員ゼロで、3年生が引退すると1年の5人で新チームを始動した。「一番元気があり、野球に取り組む気持ちが強い」と下坂監督から主将に指名された。高知東・嶺北と連合チームを組んで試合に臨んだ。

 半年後に後輩5人が入り、2年の夏には単独チームで出場。有力チームの岡豊を相手に3―6と敗れたものの善戦した。安岡主将は遊撃手で4番打者、4度の打席で3回出塁した。

 ただ、2年生の秋の大会で高知商に1―20と大敗。「もう野球を辞めてサッカーをやりたいです」と下坂監督に直訴した。「安岡がいてこその野球部だ」と監督やチームメートに説得され、踏みとどまった。「このチームをもう1勝でも多く勝たせたい」と思った。

 今春、1年生が13人も入り、マネジャー含め26人の大所帯の主将になった。

 この試合、捕手をしながら2年生投手を「ナイスボール」「いいよいいよ」と声を枯らして励ました。大量リードされた六回裏には「安岡の投球で流れを変えてほしい」とマウンドに送り出され、力のこもった投球も見せた。

 試合後、主将はつらかったかと聞いてみた。

 「つらい時期もあったけど、仲間に励まされながら務めることができた。最高のチームだった」と話した。(蜷川大介)