<プロボクシング:スーパーミドル級6回戦>◇20日◇東京・両国国技館史上初の高校8冠を含むアマ12冠ボクサー荒本一成(24=帝拳)がTKO勝ちでプロデビュー戦を飾った。韓国ミドル級3位ムングンツォージ・ナンディエンエルデン(37=モンゴル)…

<プロボクシング:スーパーミドル級6回戦>◇20日◇東京・両国国技館

史上初の高校8冠を含むアマ12冠ボクサー荒本一成(24=帝拳)がTKO勝ちでプロデビュー戦を飾った。

韓国ミドル級3位ムングンツォージ・ナンディエンエルデン(37=モンゴル)とのスーパーミドル級6回戦に臨み、6回1分9秒、TKO勝利。カウンターの左フックで前のめりのダウンに追い込んで沈めた。

第1試合から中量級同士の派手な打ち合いを展開し、カウンターの左フックやワンツーからの左ボディーと多彩な攻撃を仕掛けた。老かいな動きで的を絞らせない37歳のベテランの動きと偶然のバッティングによる左目負傷も重なり、思わずローブローとなった場面も。最後の最後にレフェリーストップで仕留め「ほんま、すみません。相手のボクシングに付き合ってしまった。フックは得意パンチで練習してきたことが出せたと思う」と淡々と振り返った。試合後には左目の精密検査のために病院に直行した。

3月のプロ転向会見から約4カ月間、待望のプロ転向初戦だった。しかも約8000人収容の両国国技館。同門のWBA世界バンタム級7位の那須川天心のボクシング転向4戦目、そしてWBC世界バンタム級王者中谷潤人(M・T)、WBO世界フライ級2位加納陸(大成)のダブル世界戦が組まれた大きな興行だった。しかもWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチとして組まれた同級王者田中恒成(畑中)-同級12位ジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)戦の中止により、Amazonプライムビデオでも配信された。

気合十分でリングに立っていた荒本は「歓声が聞こえて力になりました。まだ早く練習を再開して、この舞台に帰ってきたい」と決意を新たにした。本来の主戦場は1階級下のミドル級となる。竹原慎二、同門の大先輩となる村田諒太に続く、同級3人目の世界王者を狙う。荒本は「今の出来では何も言えない。1試合1試合重ねて勝っていけばおのずと上が見えてくると思う」と謙虚な姿勢で世界を目指す姿勢を示した。

荒本は奈良・王寺工高時代の15~17年にウエルター級で総体、国体を3連覇。15、16年の選抜も連覇して、高校8冠を達成した。日大進学後も国体連覇、全日本選手権などを制覇。昨年の全日本選手権で敗退してパリ・オリンピック(五輪)出場の道が断たれた後にプロ転向を決意した。今年3月には帝拳ジムからのプロ転向を発表し、同月下旬にはプロテスト(B級)を受験し、合格していた。