<プロボクシング:WBO世界フライ級王座決定戦12回戦>◇20日◇東京・両国国技館同級2位加納陸(26=大成)の9年越しの夢は激しく散った。同級3位アンソニー・オラスクアガ(25=米国)との王座決定戦。激しく打ち合うが3回、オラスクアガの左…

<プロボクシング:WBO世界フライ級王座決定戦12回戦>◇20日◇東京・両国国技館

同級2位加納陸(26=大成)の9年越しの夢は激しく散った。同級3位アンソニー・オラスクアガ(25=米国)との王座決定戦。激しく打ち合うが3回、オラスクアガの左フックが加納のあごを打ち抜いてダウン。10カウントが数えられて2分50秒、KO負けを喫した。18歳で初めて世界に挑みようやくつかんだチャンスだが「三田から世界」の夢はかなえられなかった。

世界のベルトは手の届かないところにあった。

加納は序盤から積極的に打ち合った。しかし、パンチの強さはオラスクアガが一枚上手だった。3回、左フックであごを打ち抜かれキャンバスにあおむけに沈んだ。2分50秒、10カウント。8年ぶりの世界戦はあっけなく終わりを告げた。

18歳で挑んだ16年8月、WBO世界ミニマム級王座決定戦以来の世界戦。高山勝成に6回負傷判定負けを喫した。その後に階級を上げながら世界へのチャンスを待った。相手はWBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(BMB)と激戦を演じた実力者だが、加納は積年の思いをぶつけた。

試合前の公開練習では「大きなけがもなく内容の濃い練習をこなせた。試合が楽しみ。自信があります」と話していた。8年前、世界に挑んだ18歳はただ無我夢中だった。そこから重ねた酸いも甘いもの経験。丸元大成会長(48)は「しんどい試合をこなして心が成長した」と言った。

試合が決まってから約120ラウンドのスパーリングを積み重ねて備えてきた。「とにかく勝ちにこだわる。ベルトを強引にでも取りにいく試合をしたい」と力強く宣言していた。

「オラスクアガとは同じスタイル。序盤からかみ合うと思っている。試合が終わるまで気持ちを切らさずベルトを取りたい」

丸元会長が積極的に動き、ようやく実現にこぎ着けた世界戦だ。「この8年、早かったような長かったような。1戦1戦に思いがある試合をこなしてきて、濃かった(年月)と思います。応援してくれている三田に必ずベルトを持ち帰りたい」。大成ジムは自主興行の看板を「三田から世界へ」と掲げてきた。兵庫県の山あいの町から初の世界王者へ。その夢は、はかなく散った。【実藤健一】