(20日、第106回全国高校野球選手権熊本大会準々決勝、熊本商2―5天草工) 1番打者が出塁し、2番を担うチーム一の強打者、豊田琉人選手(3年)がかえす。それが熊本商の得点パターンだ。 エースナンバーも背負う豊田選手はこの日も先発のマウン…

 (20日、第106回全国高校野球選手権熊本大会準々決勝、熊本商2―5天草工)

 1番打者が出塁し、2番を担うチーム一の強打者、豊田琉人選手(3年)がかえす。それが熊本商の得点パターンだ。

 エースナンバーも背負う豊田選手はこの日も先発のマウンドへ。17日の岱志との3回戦で9回を完封。104球を投げて中2日での登板だが、疲れは感じなかった。

 三回表には先頭打者として三塁打を放った。本塁にかえれずリードとスタート、帰塁を繰り返して「足を使った」後、三回裏のマウンドで疲れが出た。踏ん張りがきかずに高めに浮いた変化球を相手打線が逃さず、3点を失い降板した。

 「守備と攻撃で役割を果たそう」。七回、2死二塁でサード強襲の内野安打を放つ。九回表、2死から1番打者が三塁打で出塁し、最後の打席がまわってきた。「落ち着いて打席に入れば必ず打てる」。手袋やプロテクターを丁寧に付けて、ゆっくり素振りを繰り返した。2球目の直球を思い切りたたき、打球は左翼フェンスに向かって飛んでいった。「抜けた」と思った瞬間、懸命に飛球を追った左翼手が後ろ向きのまま差し出したグラブに白球は吸い込まれた。

 「自分が力を出し切れずにチームを勝たせられなかった」と悔やんだが、二刀流で誰よりもチームの力になったことを、仲間たちは知っている。(吉田啓)