(20日、第106回全国高校野球選手権福岡大会準々決勝 九州国際大付0―1近大福岡) 六回裏、九州国際大付の主将、田端竜也投手(3年)がマウンドへ。1点先行されたが、追加点はもう許さない。走者を背負っても動じず、持ち味の制球力で後続を断っ…

 (20日、第106回全国高校野球選手権福岡大会準々決勝 九州国際大付0―1近大福岡)

 六回裏、九州国際大付の主将、田端竜也投手(3年)がマウンドへ。1点先行されたが、追加点はもう許さない。走者を背負っても動じず、持ち味の制球力で後続を断った。「ここで負けるチームじゃないぞ」。後ろ姿で味方を鼓舞した。

 昨夏も背番号1で大会2連覇に貢献したが、甲子園では初戦敗退。新チームの主将として全国で勝てるチームを目指した。だが、その秋の福岡県大会は3回戦で敗れた。仲間をまとめようと考えすぎ、投球に集中できていなかった。ショックを引きずっていると、監督に諭された。

 「チームをまとめるんじゃなく、ひっぱれ」

 後輩の指導や試合中の声掛けなどは仲間に任せ、バッターとの勝負に集中すると決めた。投手として頼もしくなれば、味方に安心を与えられる。冬の間にスクワットで下半身を鍛え抜いた。

 「3連覇を果たし、全国でリベンジを果たす」と誓った今夏は、5回戦までの3試合で6回と3分の2を投げ、失点0。この試合も3回を無失点に抑えた。九回表2死で打席に立ったが、一ゴロに打ち取られた。頭から一塁に滑り込み、グラウンドをみつめた。「まだ投げたかった。このチームは甲子園で戦える実力がありました」。大会屈指の好投手は静かに話した。(太田悠斗)