「阪神0-1広島」(19日、甲子園球場) 広島の突破口を開いたのは、中村貴浩外野手のバットだった。普段はポーカーフェースの若鯉も勝利につながった一打を「まずは1本出てほっとしています。チームが勝てたので良かったです」と笑みをこぼしながら振…

 「阪神0-1広島」(19日、甲子園球場)

 広島の突破口を開いたのは、中村貴浩外野手のバットだった。普段はポーカーフェースの若鯉も勝利につながった一打を「まずは1本出てほっとしています。チームが勝てたので良かったです」と笑みをこぼしながら振り返った。

 この日、今季初昇格を果たし、プロ初の5番で即スタメン出場。迎えた五回の第2打席だ。先頭で打席に立つと、追い込まれながらも村上の外角フォークを中前へ。「うまく拾えました」と自画自賛の今季初安打だった。打線はこれを皮切りに無死満塁の好機をつくると、シャイナ-の内野ゴロ間に1点を先制。これが決勝点となった。

 三回1死では左翼の守備で魅せた。近本が放ったライナー性の打球を前進し、スライディングキャッチ。「迷惑かけないように必死でした」と懸命なプレーで投手をもり立てた。

 プロ1年目の昨季は5月に育成から支配下登録されたが、1軍で打率・176に終わり、今季もここまで2軍暮らし。やっとめぐってきたチャンスに燃えている。「自分自身ラストチャンスだと思っている。ここで(1軍に)残れるか、ずっと2軍にいるか。それぐらいの気持ちです」。落ち着いた口調にも、熱い思いが込められていた。

 新井監督は「ファームから貴浩が良いと報告がきていた。彼らしい力強いスイングを見せてくれた」と期待通りの働きに目尻を下げた。

 「しっかり振ることが自分の魅力。継続していきたい」と浮かれる様子はなかった中村貴。持ち前のフルスイングで、チームを“混セ脱出”へ導いていく。