「阪神0-1広島」(19日、甲子園球場) 広島が接戦を制し、7月7日以来の首位に浮上した。立役者は先発した床田寛樹投手(29)だ。7回7安打無失点の好投。1点リードの七回は無死満塁の大ピンチを切り抜け、リーグトップの9勝目を手にした。チー…

 「阪神0-1広島」(19日、甲子園球場)

 広島が接戦を制し、7月7日以来の首位に浮上した。立役者は先発した床田寛樹投手(29)だ。7回7安打無失点の好投。1点リードの七回は無死満塁の大ピンチを切り抜け、リーグトップの9勝目を手にした。チームは2018年以来6年ぶりに甲子園で5連勝。このまま一気に連勝で前半戦を締めくくる。

 押せ押せムードが漂う敵地の中心で、床田は最後まで崩れなかった。スタンドの盛り上がりをため息に変え、わずか1点のリードを守り抜いた。“原点”を見つめ直した調整期間が実り、7回無失点でリーグ単独トップの9勝目。「最初はどうなるかなと思ったけど、何とか粘れたので良かった」と息をついた。

 その初回は近本、中野の連打で無死一、二塁。「最近の自分だったら、あそこで崩れていたと思う」。森下を右飛、佐藤輝を空振り三振に仕留め、最後は大山を148キロ直球で二邪飛に打ち取った。三回からはリズムに乗り、先制点をもらった直後の五回は3者連続三振。そして最大のヤマ場は七回に訪れた。

 連打で無死一、二塁とされ、野口の打ち取った打球は不運な形でポテンヒット。無死満塁と攻められた。坂本を遊ゴロ併殺に封じて2死二、三塁。続く木浪への初球はボールになるも150キロストレートを投げ込んだ。

 カウント1-2からの4球目は今季最速の151キロ。一気にギアを上げた。「(力を)振り絞るぐらいじゃないと抑えられないと思っていた」。4球目はファウルになるも「カットボール、ツーシームでのファウルなら、もしかしたら結果が変わっていたかなと。真っすぐで押せていたので、良かった」と左腕。最後はパームで中飛に打ち取り、絶体絶命のピンチを切り抜けた。

 前回登板を終え、投手にとっては“原点”とも言える直球を見つめ直した。「スピードがちょっと落ちてきて」という理由から、好調時とそうでない時の自身の映像を確認。すると上半身と下半身の捻転差が出ていないことが分かったという。

 瞬発系のトレーニングでは上半身を動かさない状態で先に下半身を動かすなど、捻転差を出すための練習を多く取り入れて工夫。ツーシーム主体ではなく直球の球速が上がれば打者の対応も変わり、パームなど遅球の効果も増幅する。この日の151キロには「もう少しトレーニングなどをして、もうちょっと出せるように」と更新を誓った。

 新井監督は「七回も圧巻だったね。今日も素晴らしい投球でした。投手も頑張って守って僅差で逃げ切るという、本当に(その形が)凝縮された試合だった」と称賛した。チームは首位に浮上し「上にいるのは悪いことじゃないと思う。しっかり勝てる試合を増やしていければ」と床田。広島の勝ち頭は後半戦も、フル回転でチームを支える。