(19日、第106回全国高校野球選手権佐賀大会準々決勝 鳥栖工6―4伊万里) 伊万里は自慢の守備が乱れ、七回で5点差をつけられた。この回の攻撃に入る前、真崎貴史監督が言った。「奇跡を起こそうと思ったら、自分たちを信じるしかないよ」 6選手…

 (19日、第106回全国高校野球選手権佐賀大会準々決勝 鳥栖工6―4伊万里)

 伊万里は自慢の守備が乱れ、七回で5点差をつけられた。この回の攻撃に入る前、真崎貴史監督が言った。「奇跡を起こそうと思ったら、自分たちを信じるしかないよ」

 6選手いる3年生で唯一、控えの橋口駿選手を先頭打者の代打に送った。結果は3球三振だったが、誰もあきらめていなかった。1点を返しなお、1死二、三塁で4番の立石蓮人選手(3年)に回った。追い込まれながら、中前に運ぶ2点適時打。この回で1点差まで追い上げ、真崎監督は「つないで4点取れたのは、3年生が引っ張り頑張ってきた証し」と振り返った。

 立石選手は中軸の責任感から、「みんなが回してくれたのに、2併殺打で役割を果たせず、ふがいない」と殊勲打には触れなかった。守りでは捕手として3人の2年生投手をリードしてきた。「みんないい球を投げるし、彼らのおかげでここまで来られた。感謝しています」。ここでも謙虚に話した。

 チーム事情で中堅手から捕手へ転向した。「好きじゃないポジション。色々考えないといけない。暑いですし、苦手だった」と正直だ。それでも、勝つために守りの要役を担った。「みんなで和気あいあいとした感じで、楽しかった」。三振を狙うより、丁寧に打たせてとる投球を引きだそうと、後輩投手陣をもり立てた。

 進学希望で野球は続けたいと思っている。「もう一度、外野で」。挑戦は終わらない。(森田博志)