（18日、第106回全国高校野球選手権岡山大会2回戦 岡山東商3-2おかやま山陽） 「マナトまで回すぞ！」。2点を追う九回裏、おかやま山陽ベンチからは異口同音に一人の名前が挙がった。3番・田内真翔（たないまなと）（3年）。野手で唯一甲子園を…
（18日、第106回全国高校野球選手権岡山大会2回戦 岡山東商3-2おかやま山陽）
「マナトまで回すぞ！」。2点を追う九回裏、おかやま山陽ベンチからは異口同音に一人の名前が挙がった。3番・田内真翔（たないまなと）（3年）。野手で唯一甲子園を知る男だ。
昨夏は1番・サードとして岡山大会で5割超の打率を残し、甲子園でも4試合にフル出場して6安打。新チームでは遊撃に転向して攻守の要に。主将も任された。
ただ、準々決勝で敗退した昨秋の県大会後、「（守備の負担の大きい）ショートにいろいろ背負わせたくない」と堤尚彦監督の判断で主将は交代に。最終的に主将は横山宗樹（3年）に任された。
「交代はしたけど、横山も自分も主将だと思ってやってきた」と田内は内心を明かす。この日はここまで無安打。七回には1点差に迫っての2死満塁で遊直に倒れたが、それでもみんなが「なんとか真翔に」と言う。「次はなんとしてでも」と思いを募らせていた。
8番から始まった最終回、仲間が安打、四球でつなぎ、2死一、二塁で打席に立った。2ボール1ストライクからの4球目。「なんとなく、次は来ると思った」狙い球のスライダーが真ん中へ。左前へ打ち返し、二塁走者が生還。1点差に迫った。
だが、次打者が遊ゴロに倒れ、田内は二塁で封殺されて試合は終了。「力が全部抜けた」。相手の校歌を聴きながら天を仰いだ。
自然と背負ったチームの要石は「重かったです」と素直に認める。「去年がうまくいきすぎて。なんで勝てないのかという状態がずっと続いた。あとちょっとが足りなかったのかな」
「もう一回、あの場所に戻りたかった」と甲子園への未練はある。「でも、高校野球は終わったんで次のステージにぶつけます」。プロ志望届を出すと明言した。（大野宏）
