(18日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会3回戦 西武文理8―11不動岡) 取られたら取り返すシーソーゲームの中、直前に逆転された西武文理は2点を追う八回裏。死球とヒットで1死一、二塁とし、4番の相川海己(3年)に打順が回ってきた。 初…

(18日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会3回戦 西武文理8―11不動岡)

 取られたら取り返すシーソーゲームの中、直前に逆転された西武文理は2点を追う八回裏。死球とヒットで1死一、二塁とし、4番の相川海己(3年)に打順が回ってきた。

 初戦では先制の3点本塁打を放ち、勝利に貢献。この日はこれまで四死球で3度出塁し、犠飛も放っていた。だが、とにかくどんな形でも塁に出て、次の吉村勇希(3年)に回したいと思っていた。

 1球目のスライダーは空振り。甘く入った2球目を思い切り引っ張った。左中間に向けて飛んだ鋭いライナーは、遊撃手のミットに収まった。二塁走者の篠塚大響(3年)も帰塁できずに併殺打となった。得点を奪えず、チームも敗れた。

 春までは下位打線を打っていた。だが、185センチ83キロという体格と選球眼から、6月に4番を任されるようになった。

 佐藤圭一監督によると、元々長打よりは小技でつなぐのが得意な選手。しかし4番を任せてからは練習試合などで長打も出るようになった。毎日気が済むまで重いバットで素振りをしていたといい、「誰よりも早く来て黙々と練習していた。その成果が出たのではないか」(佐藤監督)。

 プレッシャーも感じていたという相川は、最後の打席のことは「ほとんど覚えていない」。試合後、目を真っ赤に腫らし、「仲間に申し訳ない」「自分が打てていれば、勝てたかもしれない」とつぶやいた。(山田みう)