昨年7月に脳腫瘍のため亡くなった阪神OB・横田慎太郎さん(享年28)の一周忌となった18日、同期入団の梅野隆太郎捕手(33)が改めて亡き仲間を悼んで、プロ野球選手として原点回帰の誓いを立てた。自身は球団生え抜き初となる捕手1000試合出場…

 昨年7月に脳腫瘍のため亡くなった阪神OB・横田慎太郎さん(享年28)の一周忌となった18日、同期入団の梅野隆太郎捕手(33)が改めて亡き仲間を悼んで、プロ野球選手として原点回帰の誓いを立てた。自身は球団生え抜き初となる捕手1000試合出場に王手をかけており、早ければ19日・広島戦(甲子園)で偉業達成。節目の一戦を前に、試合に出続ける意義を胸に刻み込んだ。

 悲しみの別れから1年、志半ばで天に召されたチームメートは原点の大切さを教えてくれる。一周忌を迎えた横田さんについて、梅野は「野球に対する思いというか、泥くささがあるタイプの選手だった。全力疾走とか小さい時からやれることを思い起こさせてくれる存在」と述懐。「そういう意味で(横田さんを)思い出したら初心に戻って、野球をできる喜びを感じられる」と4歳年下だった同期をしのんだ。

 昨季、リーグ制覇と日本一がそれぞれ決まった瞬間、梅野は横田さんのユニホームを握り締めて歓喜の輪に加わった。オフには同期の岩崎、岩貞らと一緒に、鹿児島県内の横田さんの実家を弔問。遺影の前で手を合わせて優勝を報告した。

 「昨年ね、実際横田のところに行って、いろいろあいさつして。『とにかく頑張ってほしい、慎太郎の分まで』って、お父さんお母さんから言われた言葉は忘れられないので。何とか自分たちの現役の時は頑張ってやっていけたら」。託された思いは、日々の戦いへの原動力となっている。

 横田さんのプロ野球人生はわずか6年で幕を閉じたが、同期の梅野は11年目。虎の扇の要として実績を積み重ねて、19日にも金字塔を打ち立てる。球団生え抜き初の捕手1000試合出場。木戸克彦(943試合)、田淵幸一(917試合)といったレジェンドでも届かなかった領域に、足を踏み入れる。

 6月18日・日本ハム戦(甲子園)で達成した1000試合出場に続く、“捕手の誇り”とも言うべき新たな勲章。「忘れられない1試合目からスタートし、キャッチャーとして次で1000。ここまで来れたことは光栄に思います。試合に出るってことはそう簡単ではないので、やり続けるっていうことは大事」と継続の重みをかみ締めた。

 捕手・梅野の歩みはまだまだ続くが、まずは前半戦ラストとなる19日からの広島3連戦に目を向ける。「上位とまた当たるっていうことで、負けられない試合が続く。勝ちにこだわって、やるべきことをやっていくっていうスタイルで、次もやっていきたい」。天国の横田さんへ一周忌の白星をささげると同時に、自身のメモリアルにも花を添える。

 ◆阪神生え抜き捕手出場試合 梅野が次回捕手の守備位置に就けば通算1000試合となる(途中出場含む)。阪神では木戸克彦が943試合、田淵幸一が917試合(西武時代を除く)。生え抜き以外では矢野燿大が中日から移籍後、阪神の捕手として1291試合、マスクをかぶっている。