「高校野球兵庫大会・4回戦、甲南5-4西宮今津」(18日、明石トーカロ球場) 兵庫大会では、甲南が九回に一挙4点を奪う逆転サヨナラ勝ちで5回戦進出を果たした。広島・新井貴浩監督(47)の次男・颯真投手(3年)が九回に代打で公式戦初安打を放…

 「高校野球兵庫大会・4回戦、甲南5-4西宮今津」(18日、明石トーカロ球場)

 兵庫大会では、甲南が九回に一挙4点を奪う逆転サヨナラ勝ちで5回戦進出を果たした。広島・新井貴浩監督(47)の次男・颯真投手(3年)が九回に代打で公式戦初安打を放ち、劇的勝利に大きく貢献した。報徳学園の今秋ドラフト候補・今朝丸裕喜投手(3年)は阪神など6球団10人のスカウトが視察する中、5回1安打無失点と好投。昨夏の甲子園大会を制した慶応は神奈川大会の5回戦で、桐蔭学園に2-4で敗れた。

 盛り上がり始めたスタンドを、さらなる熱気が包み込んだ。3点を追う九回無死二塁。「代打・新井」がコールされ、三塁側内野席が沸き上がる。「絶対につないで『後ろの人に決めてもらおう』という気持ちで打席に入りました」。追い込まれながら中前へ運び、公式戦初安打。ここから打線がつながり、一挙4得点の逆転サヨナラ勝利に結びついた。

 父の現役時代の応援歌が流れる中、価値ある快音を響かせた本人は「最高です!この瞬間を信じてやってきたので、うれしかった」と満面の笑みを浮かべた。この日の朝、父からは「見に行くけえ、頑張れよ」とメールをもらい、背中を押された。「疲れていると思うんですけど来てくれて、いいところを見せようと思っていた。それが結果につながって感謝しています」と実感を込めた。

 劇勝につながった安打は、木製バットで打った。数か月前の練習から木製バットを使い「(感覚が)自分に合った」と試合でも木製にすることを決めた。カープカラーの赤いバットには「たまたまです」と、苦笑しながら汗を拭った。

 自身に出番が訪れるまでは全力疾走で伝令に向かい、相手の攻撃が終わると一目散にベンチを飛び出して攻撃に向かう仲間をサポート。「技術で貢献できる部分は限られる。視野を広く持ち、常に平常心で周囲を見ることが自分の役目」と献身ぶりを徹底してきた。

 「やってきた練習と仲間たちの絆を信じ、1勝ずつ重ねて絶対甲子園に行きます」と颯真。チームに欠かせぬ男にはこの夏、まだまだ大きな仕事が待っている。

 ◆新井 颯真(あらい・そうま)2006年10月2日生まれ、17歳。広島市出身。177センチ、72キロ。右投げ右打ち。一塁手兼投手。啓明学院中ではバスケットボール部に所属し、同時に関メディベースボール学院で野球を始める。甲南では2年秋に背番号13で初めてベンチ入り。今夏は背番号10。