「ボクシング・日本バンタム級タイトルマッチ」(18日、後楽園ホール) 日本バンタム級タイトルマッチは挑戦者の増田陸(26)=帝拳=が王者の富施郁哉(26)=ワタナベ=に4回2分21秒、KO勝ちして初タイトルを手にした。富施は4月の王座決定…

 「ボクシング・日本バンタム級タイトルマッチ」(18日、後楽園ホール)

 日本バンタム級タイトルマッチは挑戦者の増田陸(26)=帝拳=が王者の富施郁哉(26)=ワタナベ=に4回2分21秒、KO勝ちして初タイトルを手にした。富施は4月の王座決定戦を制して手にしたベルトの初防衛に失敗した。

 1ラウンド終盤に左フックで富施をよろめかせた増田だが、「すごく対策してきていてやりにくい立ち上がりだった。左を警戒されてガードが堅かったし、重心も低くて当てにくかった」という。4ラウンド、富施が攻めに出てきたところで「練習してきたパンチ。手応えはしっかりあった」という右フック一閃(いっせん)。テンカウントを聞かせた。

 昨年5月の対戦では増田が富施に7回TKO勝ち。増田は昨年8月に当時の王者・堤聖也(28)=角海老宝石=に挑戦したが、判定負けした。

 この日のKOを「納得いく勝ち方」と振り返った増田は、堤戦の負けを経て「勝負の世界、厳しいスポーツなので、自分次第というか、日々の練習への向き合い方、態度がリングの上に出るんだと。日々の生き方から考えて、ボクシング優先で生活するようになった。性格がのんびり屋でマイペース過ぎるところがあるので、そういうところを締めていきたい」と、姿勢を改めたという。

 今年2月にジョナス・スルタン(フィリピン)を1回KOし、現在はWBA11位、WBO13位、IBF15位にランクされている。今後について「まだまだ反省点はいっぱいある。しっかり修正して、もっと自信を持って世界で戦わせてもらえるように頑張りたい。(世界戦は)もっともっとレベルが高い世界だと思うので、今ここではっきり世界取れますとは言えない」と、浮ついたところは見せず。

 同門で同じバンタム級の那須川天心(25)については「ジムメイトで階級も近いし、注目されているので刺激になります」と話していた。

 アジア最強ライト級トーナメント準決勝は、日本3位の斉藤陽二(28)=角海老宝石=がWBCアジアシルバー王者のウー・ハンユン(21)=中国=を、日本5位の今永虎雅(24)=大橋=がマービン・エスクエルド(28)=フィリピン=をKOして決勝に進出した。

 斉藤はウーの手数に手を焼いたが、序盤から決めていた左ボディーが奏功。4回終了間際に左ボディーを放つと、しゃがみ込んだウーはテンカウントで立てず、4回3分7秒でKO勝ちした。

 斉藤は「この内容では、応援していただいた方はフラストレーションがたまったと思う。しょっぱい試合をしちゃって申し訳ない」と反省し「決勝戦はしっかり倒せるように」と約束。トーナメント出場決定後は今永を想定してサウスポーとばかり練習しているといい、「向こうは眼中にないらしい。ないまま試合したらちょっと有利になるかな」と冗談めかした。

 今永は1ラウンドから「練習通り」の左ボディーを有効に決め、右フックを効かせるなど圧倒。2ラウンドに入ると左ボディーでダウンを奪い、左ボディーでダウンを追加すると、エスクエルドは苦痛に顔をゆがめてテンカウントを聞いた。

 今永は「作戦通りの勝ち方ができて良かった」と笑顔を見せ、決勝に向けて「相手が誰になっても自分のボクシングを貫いてベストを出すだけ。相手が誰とか関係ないので、決勝は絶対KOで優勝する」と宣言した。

 日本ユース・バンタム級王座決定戦は金城隼平(23)=RE:BOOT=が平井乃智(23)=石田=に試合終了間際の8ラウンド2分56秒、TKO勝ち。「ボクサーとして新しいスタートを切れた」と喜んだ。

 東日本新人王予選ライト級では、4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(31)=大橋=の幼なじみで元Jリーガーの山口聖矢(30)=大橋=が本多俊介(24)=E&Jカシアス=と対戦した。

 井上尚弥、弟でWBA世界バンタム級王者の井上拓真(28)=大橋=らがリングサイドで見守る中、前に出てプレッシャーをかけ、距離を詰めて連打を放っていく山口は、3ラウンドに右でダウンを奪われるも、直後に左フックでダウンを奪い返すなど激闘を展開したが、判定2-0で初黒星。デビューからの連勝は2で止まった。

 山口は「悔しい。負けることは嫌いなので」と言いつつも、「つまらない試合をするよりは良かった。気持ちは見せられたかな。やろうと思っていたことはできたかな。ただ単に負けたら何も残らない。戦うことは見せたので、今後に向けてプラスになった負けかなと思う。この負けをプラスにしていかないと、やっている意味がない。自分で言うのもなんだけど伸びしろはあると思う」と前向きに語っていた。