(18日、全国高校野球選手権青森大会準々決勝、三沢商5―8八戸工大一) 三沢商の蛯名汰成(たいせい)主将(3年)は、グラウンドで感謝の思いを示したかった。これまで支えてくれた、たくさんの人に。 母の香織さん(46)によると出生時、心臓の一…

 (18日、全国高校野球選手権青森大会準々決勝、三沢商5―8八戸工大一)

 三沢商の蛯名汰成(たいせい)主将(3年)は、グラウンドで感謝の思いを示したかった。これまで支えてくれた、たくさんの人に。

 母の香織さん(46)によると出生時、心臓の一部に1センチ近い穴が開いていて、手術を受けた。香織さんは医師から「手術をしても運動ができるかわからない」と伝えられていた。蛯名選手は言う。「今こうして、元気に野球ができていることは奇跡なんです」

 試合中、笑みを絶やさない。「野球が大好きで、楽しくて仕方ない」からだ。すると、仲間たちにも自然と笑顔が広がる。「三商(さんしょう)スマイル」はいつしかチームの合言葉になった。

 この日はプレーでも仲間を引っ張った。安打と二つの四死球で出塁し、好機を演出。3回戦で足をつり、状態は万全ではなかった。整骨院でテーピングして出場、中堅の守備では相手打者の大飛球をいくつも好捕。攻撃へのリズムをつくり、強豪の八戸工大一に最後までくらいついた。

 将来はプロ野球の舞台を目指す。「子どもたちに勇気を与えられるような選手になりたい。全力でがんばれば夢はかなうんだよ、と示してあげたいです」。とびきりの笑顔が輝いた。(野田佑介)