(18日、第106回全国高校野球選手権茨城大会3回戦 多賀1―2茨城キリスト) 「一番近くにいたからこそ、見えることがある」 多賀のスタンドで、マネジャーの高橋日茉里(ひまり)(3年)は言った。 一塁コーチの背番号14、河村省吾(3年)のこ…

(18日、第106回全国高校野球選手権茨城大会3回戦 多賀1―2茨城キリスト)

 「一番近くにいたからこそ、見えることがある」

 多賀のスタンドで、マネジャーの高橋日茉里(ひまり)(3年)は言った。

 一塁コーチの背番号14、河村省吾(3年)のことだ。「絶対に手を抜かない選手です」

 例えば雨の日の練習。校舎の階段を走るときも、いつも全力の河村を見てきた。グラウンド整備も率先した。

 ただ、レギュラーは遠かった。3年になった河村が、裏方に回る覚悟をしたようにも見えて少し心配した。

 この日の試合は緊迫の展開。河村も懸命に腕を回し、打席に向かってほえた。「振り抜け!」。1球ごとに沸くスタンドで、高橋は「河村もいつも通り。みんなで戦えている」。

 あと1点届かず、この日も河村に出番はなかった。「つらいときも、あいつの地道な努力を見て全員が頑張れた」と岡英樹監督。「本当は何度も辞めようと思っていた」という河村は、「主役にはなれなかったけど、野球を続けられたことが誇りです」と話した。(北上田剛)